秋田県の伊勢堂岱遺跡には、高台の登る途中に「日時計状組石」と呼ばれる小規模な石組があります。この組石は大湯環状列石の石組と比べて非常に小さく、星形あるいは五角形状の形態を示しています。しかし、この組石は写真に撮影されることが少なく、その存在を知る人は多くありません。遺跡の象徴として知られる「笑う土偶」や「伊勢堂くん」と比べると、きわめて注目度が低い構造物といえます。
伊勢堂岱遺跡は四つのストーンサークルをもつ点で特異であり、同規模の遺跡で四基のサークルを備える例は他にほとんどありません。また、これらのサークルの石組には、小牧野遺跡で知られる「小牧野式石組」と類似する構造が確認でき、両遺跡の関連性は非常に強いと考えられます。
私は、この三段構造の石組は古代エジプトの墓壁画に描かれる「円形に三段の梯子状意匠」と共鳴していると考えています。古代エジプトでは、この三段の形態は冥界の王オシリスと深く結びつき、オリオン座の中央の三ツ星を象徴するものと解釈されることがあります。ストーンサークルが死後の世界と強い関連をもつことを踏まえると、伊勢堂岱の三段石組をオリオン座の象徴として捉えることは十分に可能です。
さらに、私はこの「日時計状組石」を日時計としては捉えていません。星形の形態は、古代エジプトの墓壁画に見られる星形「☆」や「大」の字形意匠と響き合っていると考えています。古代エジプトでは、死者の姿を象徴的に「大」の形で表現する例があり、伊勢堂岱の星形組石も同様の象徴的意味を帯びていた可能性があります。この星形を「☆」や「大」と捉える研究者は現在のところ存在しませんが、私自身が古代エジプトの象徴体系を長年考察してきた経験から、両者の形態的・象徴的共通性を強く感じています。
小牧野遺跡と伊勢堂岱遺跡に共通する三段石組、そして古代エジプトの墓壁画に描かれる円形三段梯子状意匠──これらの類似性を踏まえると、伊勢堂岱の星形組石「☆」や「大」の字形意匠もまた、古代エジプトの死後世界観と深い共通性をもつ象徴的構造であると考えられます。





