是川遺跡の合掌土偶に見られる「六本の指」について考察します。
是川縄文館を訪れた際、ガイドの方から「合掌した手を側方から見ると爪が六個に見えるため、その構造を六本指として表現したのではないか」という説明を伺いました。確かに側面から観察すると、六本の指のように見えます。

この合掌の形は、強い願いを叶えるための特別な形態であったと考えられます。一般的な合掌では指を伸ばす姿勢が多いですが、この土偶のように強く握りしめた拳の形は、渦巻文様を象徴しているとも捉えられます。左右の拳の渦は互いに反転し、右回りと左回りの渦が両手で交わることで「再生」や「復活」の象徴となります。

さらに、親指を重ねると「✖」の形になります。この形は古代から再生・復活の象徴として崇められてきました。左右の渦巻と✖の融合は、トーラス構造の中心にある△▽=✖の形と共鳴し、宇宙的循環の象徴とも言えます。
また、長野県茅野市棚畑遺跡出土の国宝「仮面のビーナス」の両手にも渦巻文様が描かれています。古代人は手そのものを渦巻的な力の象徴として捉えていたのではないでしょうか。手の渦巻は数字の「6」と「9」にも変換でき、この「6」は合掌土偶の六本指とも響き合います。

合掌土偶は出産に関わる祈りの土偶であり、強く手を握りしめる合掌の姿勢は、縄文人が生命の誕生と願いの成就を祈った重要な象徴的ポーズであったと考えられます。


