古代エジプト人は、「三」という数、そして階段状・段階的に重ねられた構造を非常に重要視していたのではないかと私は考えています。
ギザの三大ピラミッド──クフ王、カフラー王、メンカウラー王──が象徴的な三つ組として建てられていることはよく知られていますが、
日本でも草薙剣・八咫鏡・八尺瓊勾玉の三種の神器、親子三代、三貴神(天照・月読・素戔嗚)など、
「三」は特別な意味を持つ数として扱われてきました。
この共通性は、古代文明における普遍的な象徴性を示しているように思われます。
エジプトの象徴体系を見ても、ジェド柱には 下部が階段状で、上部が四つの輪区切られた形 のものが存在し、
クフ王の王の間は 五重構造 を持つなど、段階性・重層性を強く意識した造形が多く見られます。
私が注目している壁画(上の写真)には、
蛇が三重あるいは四重に折り重なる形 で描かれ、
その下には 太陽円盤の上に三段の梯子状の意匠 が置かれています。
これらは単なる装飾ではなく、古代エジプト人にとって重要な象徴的意味を持っていたのではないかと感じています。
この三段・三重の構造は、オリオン座の 三ツ星(オリオン・ベルト) と
その下に位置する 小三ツ星 と共鳴しているように思われます。
小三ツ星は観測条件によって 3〜6つに重なって見える ことがあり、
その多重性はエジプトの象徴表現と響き合います。
オリオン座は古代エジプトではオシリス神を象徴し、
冥界からの再生・復活 を表す星座として特別視されていました。
三ツ星と小三ツ星は、縦に並ぶ“柱”のような形を成し、
再生の軸を象徴するものとして理解されていた可能性があります。
また、ウアジェト(コブラ)が 膝と胸の間に三つ折りの形(上の写真) で表現される例がありますが、
この三つ折りの形態もまた、オリオン座の三ツ星・小三ツ星との象徴的な対応を感じさせます。
蛇は冥界を象徴し、脱皮によって再生を体現する存在でもあります。
その蛇が三重に折り重なる形で描かれることは、
冥界・再生・変容 の三つの要素を重ね合わせた強力な象徴表現と考えられます。
さらに、トーラス構造におけるエネルギーの流入と流出は、
渦巻状に入り、渦巻状に出ていく という循環運動を持ちます。
この外形は、オリオン座の 二つの三角形が結合した形 とよく似ており、
その中心に位置する三ツ星・小三ツ星が、
古代エジプト人にとって 再生・復活の核心 として認識されていた可能性があります。
つまり、
-
オリオン座(オシリス)=再生の星
-
三ツ星・小三ツ星=再生の柱
-
ウアジェト(蛇)=冥界と再生の象徴
-
太陽円盤の三段意匠=再生の階梯
-
トーラス構造=宇宙的循環のモデル
これらが互いに共鳴し合い、
古代エジプト人が重視した 再生・復活・変容の三重構造 を表現していると私は考えています。
※ エジプトの壁画の写真はegyptoiogy EGさん、銅像の写真はNazmy K.Azizさんからお借りしました。




