大湯環状列石のうち、野中堂環状列石について考察します。

 

 


野中堂のサークルは最大直径44メートル、万座のサークルは52メートルで、野中堂の方がやや小さく、位置も東側にあります。両者は同じ時期に造られたと考えられています。野中堂には35組の墓が確認されています。

 

 

 

一般的な説明では、野中堂の特徴として「二重の同心円」が強調されます。しかし実際には、同心円を構成する石英閃緑玢岩の外側に、安山岩の小型の石が丁寧に配置され、同心円をさらに装飾するような形になっています。この安山岩は草や土に部分的に埋もれているため、遠くからは目立ちませんが、私はこの小型石による装飾も縄文人にとって重要な意味を持っていたと考えています。

 

 

 

 

写真や図では二重円のみが示されることが多く、安山岩の配置まで含めた全体像はほとんど知られていません。では、この複雑な形は何を意味しているのでしょうか。

 

 

野中堂の安山岩などの小さな石を含めた形は左下の図です。初めてこの形を見た人がほとんどではないかと思われます。

 

 

野中堂や万座を太陽の象徴とみなす研究者は多いのですが、私はこれを太陽ハロ(日がさ/下の図)の表現と考えています。太陽ハロは雨の数日前に現れる光学現象で、状況によってさまざまな形に変化します。基本的な図象には、上端接弧・下端接弧・太陽アークなどがあり、安山岩の楕円形の輪が二つ連なる形や、八の字形の配置は、これらの太陽ハロの特徴とよく対応します。

 

 

 

縄文人は太陽の光・熱・水の重要性を深く理解しており、太陽ハロの形を生命の再生や復活の象徴として捉えていた可能性があります。野中堂が東側に位置することは、朝日との関連を示唆していると私は捉えています。

 

また、人間の誕生においては、胎児が胎盤・羊水とともに生まれてきます。二重の同心円は胎盤や胎児の頭部を、太陽ハロの「雨」との関連は羊水を象徴しているとも考えられます。野中堂の円環は、生命の誕生と再生を祈る象徴的な形として理解できるのではないでしょうか。