珍敷塚古墳の壁画に描かれた図像は、古代エジプトの太陽の舟と非常に強く共鳴していると感じています。この壁画の「靫(ゆぎ)」が中央に三つありそれぞれが三つに区切られている点は、エジプトのジェド柱に象徴される三ツ星・小三ツ星の構造と対応し、オリオン座との関連を示唆しているように思われます。
神やお墓は数える時にも一柱、二柱と数えます。古代から「柱」は神の依代として重要な存在でした。
特に注目すべきは「わらび手文」です。この文様は研究者の間でも意味が不明とされ、ほとんど説明がなされていません。私自身も長年その意味とルーツが気になっていましたが、最近になって直感的に確信を得ました。それは、このわらび手文が古代エジプトの女神メスケネトと深く関係しているということです。
メスケネト
メスケネトは出産・幼児の守護神であり、運命を司る存在でもあります。古代エジプトでは、母の胎内に生命が宿るとき、そして誕生の瞬間に、メスケネトが“カー(生命力)”を吹き込むと信じられていました。彼女の頭上に描かれる意匠は、牛の子宮あるいは卵管を象徴するとされ、人が生まれ出る瞬間の生命の通路を表しています。
珍敷塚古墳のわらび手文には小さな黒い点が描かれていますが、これはまさに子宮・卵管から生まれ出る生命を象徴していると考えられます。古代エジプトではミイラ作りの過程で子宮や内臓を目にする機会が多く、その重要性を深く理解していました。日本列島においても、生命誕生の象徴が文様として受け継がれた可能性は十分にあります。
またトーラス構造の中心部はエネルギーの流れがスパイラル状になります。回転方向は入る時点と出る時点で同じですが反転します。ですから右回転、左回転の図象で表現されると考えられます。
この視点から見ると、珍敷塚古墳の壁画は単なる装飾ではなく、古代エジプトの生命観・宇宙観と密接に結びついた象徴体系を反映していると考えられます。長年の謎であったわらび手文が、メスケネトの象徴と重なることで、一つの大きな意味を取り戻したように感じています。






