諏方大社の春宮と秋宮を結ぶ遷座祭において、小御正台(こみしょうだい)、大御正台(おおみしょうだい)、御篋(おはこ)は、単なる神具ではなく、より原初的な宇宙観を象徴していると考えています。
秋の遷座祭(8月1日)では、柴舟と御神輿がともに遷座しますが、この柴舟の骨組みはオリオン座の形と非常に似ています。したがって、小御正台・大御正台・御篋もまた、オリオン座と深い関係を持つと捉えています。長い年月の中で意味が変化した可能性はありますが、原初には天体信仰と密接に結びついていたと考えられます。
一般的に御正台は、神に供えるものを正しく整えるための台と理解されています。しかし私は、「御」はヒ・フ・ミ・ヨの「ミ」であり、これは「三」を表し、オリオン座の三ツ星・小三ツ星と共鳴すると考えています。また「正」は古代中国で“まっすぐ立つ”を語源とし、中心軸を示す文字であり、正月の「正」でもあり、数字の「1」とも響き合います。「台」は地面より高い平面を表し、神が鎮座する場所であると同時に、字を分解すると「ム」+「口」となります。「ム」は6に変換され渦・回転を示し、「口」は四角でありながら円(〇)にも転じ、これも回転を象徴します。
つまり御正台とは、中心軸を回転させるエネルギーを象徴する装置であった可能性があります。柴舟がオリオン座を表すなら、二つの御正台は“二つの太陽の舟”を象徴し、再生・復活の原理を表現していたとも考えられます。古代人は、再生・復活・変容には回転と中心軸が不可欠であることを深く理解していたのでしょう。
古代エジプトでも、再生のために日々の供養が欠かされず、亡きファラオの復活を願って供物と祈祷が続けられました。諏方大社で小御正台・大御正台に賽銭を入れる行為も、原初には神々の再生・復活を支える重要な儀礼的行為として受け取られていた可能性があります。
さらに、小御正台・大御正台・御篋の三つは、オリオン座の三ツ星・小三ツ星を象徴し、同時に小御正台は「父神」、大御正台は「母神」、御篋は「子神」を表していると感じています。古代において「三」は三種神器に象徴されるように極めて重要視され、父・母・子の三位一体として理解されていたと考えられます。
小御正台・大御正台は幸魂・奇魂と説明されますが、原初にはオリオン座の三ツ星・小三ツ星を象徴していたのではないかと考えています。御篋が御朱印と結びつけられるのも、朱(赤)と印(円形)が“頭”や“誕生”を象徴し、母の胎内から生まれ出る赤子のイメージと重なるためでしょう。
遷座祭は一年のオリオン座の動きと深く関係し、古代の人々は父・母・子の血族的つながりを重視しながら、太陽の舟に乗って回転し、航行し、冥界・黄泉からの再生と変容を遂げるという宇宙観を、この祭祀形式に込めたのではないかと考えています。
※ 遷座祭の写真は遷座神輿の正体は…(諏訪大社下社の遷座祭)からお借りしました。





