胎蔵界曼荼羅では、密教において大日如来が宇宙の真理そのもの、あらゆる仏や現象の根本原理として理解され、中台八葉院の九尊の中心に位置します。そこから派生するように、諸仏・菩薩・諸尊が曼荼羅全体に展開され、一般には409尊あるいは414尊が描かれているといわれています。

 

その中に、ただ一尊だけ三角形で表現される(上の胎蔵界曼荼羅の茶色の〇で囲んだ部分)存在があります。この図像が「仏」として扱われているのかどうか、資料を調べても明確な説明が見つからず、判断に迷うところがあります。曼荼羅によって形状は多少異なるものの、基本的には〇と△を組み合わせた図形として描かれています。

 

 

古代以来、〇と△は壁画や建造物などに頻繁に登場する象徴的な形であり、私はこの図像がトーラス構造を象徴的に表したものではないかと考えています。トーラスはドーナツ状の形態を持ち、中心を通ってエネルギーが出入りする循環構造を示します。〇はその外形、△は中心への出入りを示すエネルギーの流れを象徴しているのではないでしょうか。

 

 

 

 

トーラス構造は再生・復活・変容を象徴する形態であり、胎蔵界曼荼羅が宇宙の真理・仏・現象の根本原理を表すとされることを考えると、古代の人々が感覚的にこの構造を理解し、〇と△の組み合わせによって表現した可能性は十分にあると感じています。