五重塔は一般に仏舎利を安置する塔(ストゥーパ)を源流とする建築とされますが、その形態の背後には、仏教以前のより古い象徴体系が潜んでいる可能性があります。私は、この塔の原形の一つとして オリオン座の三ツ星および小三ツ星 が関係しているのではないかと考えております。

 

 

 

古代エジプトのギザの三大ピラミッドがオリオン座の三ツ星を地上に写した配置であるという説は広く知られています。さらに、クフ王のピラミッド内部にある「王の間」は、オリオン座の小三ツ星の位置と極めて近い対応を示しており、私はこの内部構造が小三ツ星を象徴的に表現したものと捉えています。小三ツ星は実際には三〜六個ほどの星として見えるため、その多層性が
五層の王の間 に反映された可能性も考えられます。

 

 

また、古代エジプトのジェド柱も上部に三ツ星を象徴する形を備えていると私は考えており、その梯子状の構造はピラミッド内部の王の間の形態とも類似しています。

 

オリオン座は古代において
再生・復活・変容 を象徴する星座であり、小三ツ星は「立ち上がる柱」として理解されていた可能性があります。この柱の象徴が、後に五重塔という形で東アジアに受け継がれたのではないかと推測しています。

 

 

仏教では「地・水・火・風・空」の五大、五行思想では「木・火・土・金・水」の五つの要素が重視されます。オリオン座もまた、古代人にとっては五角形として認識されていた可能性があり、五という数の象徴性が共通していたのかもしれません。

 

五重塔は中国や韓国にも多く見られ、日本にはこれらの地域を経て伝わったと考えられます。しかし、仏舎利塔(ストゥーパ)そのものは紀元前5世紀ごろからですから、より古い象徴体系を探るとエジプトの王墓建築や星辰信仰がその源流として浮かび上がってきます。


こうした観点から、五重塔の形態には、仏教的要素とともに、古代エジプトの天体観・王権象徴・再生思想が重層的に響き合っている可能性があると考えています。