五重塔の屋根を上から眺めると、その形は正方形であり、四隅に向かって対角線状に傾斜しています。そして四隅には風鐸が吊り下げられ、風を受けて音を響かせます。
私は、この屋根の形態が、古代エジプトのベンベン石や八咫鏡の中心に置かれた正方形と深く共鳴していると考えています。
八咫鏡の構造の中心に描かれる黒丸(●)は、五重塔における心柱を象徴していると捉えることができます。
また、正方形を対角線で結んだ形は十字(+)と斜め十字(✖)を同時に内包し、古代においてはそれぞれが特別な意味を持っていました。
十字は「神が現世へ降臨する形」、斜め十字は「死後の冥界からの再生」を象徴すると考えられ、陰陽の融合を示す形としても理解できます。
ベンベン石はピラミッドの頂部に据えられ、初期には金色に輝き、「原初の丘」として神の力が最初に顕れる場所とされました。
このことからも、古代の人々が 正方形と対角線の交差する形 を特別視していたことがうかがえます。
八咫鏡の正方形は「潜在界」と「現象界」の結びを表すとされ、仏教的な感覚では、目に見えないもの(霊魂)と目に見えるもの(現象)が一体となって初めて物事の真の姿が現れると考えられていました。
その観点から見ると、四隅に吊られた風鐸は、中心の黒丸(心柱)から生まれ出た霊魂・神霊の象徴と捉えることができます。
八咫鏡の四隅に置かれる四つの小円(霊魂・神霊)を、五重塔では風鐸として表現したと考えることも可能でしょう。
さらに、九輪の上に据えられる水煙は、一般には火災予防のための装飾と説明されますが、その形は全体がドーム状であり、十字の構造が見られます。
生命の誕生に水が不可欠であることを踏まえると、水煙は「生命の源」を象徴し、屋根の十字と重なり合うことで、再生・復活のエネルギーを強く放つ象徴的な装置として理解することができます。
※ 八咫鏡の構造の図象はカタカムナ研究家吉野信子氏の著書より







