古代エジプトのツタンカーメンの玉座では、ツタンカーメンの右手の親指の付け根が、実際の人体構造とは反対向きに描かれています(上の写真の黄色の円の部分)。これは単なる描写上の誤りではなく、親指を強調するための意図的な表現であったと考えられます。
古代エジプトでは、親指から霊魂や神霊が出入りすると信じられていたという説があります。そのため、壁画や像には、手に「玉(球体)」を持つ姿がしばしば描かれます。これは、手の中から神霊が生まれ出る、入る瞬間を象徴的に表したものと解釈できます。
アテン神の光線も、腕と手(特に親指)を伴って描かれます(上の赤い線で囲んだ部分)。私は、霊的な力は親指そのものではなく、親指と人差し指の間から生まれ出ると考えています。アテン神の直線的な光は、まさにその“誕生”を示す光の流れであるように見えます。
この視点から見ると、玉座に描かれたツタンカーメンの手も、単なる人物描写ではなく、神の腕・神の手を象徴していると理解できます。親指と人差し指を強調するために反転させて描いたのは、再生・復活の瞬間を視覚的に示すための図像的工夫であったと考えられます。
※ 玉座の写真はEgyptologyさんからお借りしました。



