下馬橋
一般的には、古代エジプトと日本の間に直接的なつながりはないと考えられていますが、私は諏訪大社において、古代エジプトと古代日本の間に見られる象徴的な共通性に注目しています。
たとえば、下社春宮にある「下馬橋」。かつては身分に関係なく、誰もがこの場所で駕籠や馬を降り、この橋を渡ってから春宮に参拝していました。「馬を下りる」という行為には、「身を低くして敬意を表す」という意味が込められています。
この橋の下を流れるのは御手洗川で、別名「太鼓橋」とも呼ばれています。かつてはこの川で身を清めてから参拝する習わしがありました。橋は古代より、「この世」と「あの世」あるいは「俗世」と「神聖な世界」をつなぐ境界の象徴とされてきました。そして、橋の下を流れる水には、清めの意味が込められています。
この下馬橋を見て、私は古代エジプトの壁画に描かれている(上の写真)天空の女神「ヌト」を思い出しました。ヌトのアーチ状の体の中には、丸い物体や大の形が描かれており、これは霊魂や神霊を象徴していると考えられます。このアーチ状の姿は、太鼓橋の形状と重なり、下馬橋と共鳴しているように感じられます。
さらに、橋の下を流れる御手洗川を「天の川」と見立てることもできるでしょう。天の川は、7月から9月にかけて、月に数回、多いときには10回以上、アーチ状(下の写真)に夜空に現れます。このアーチ状の天の川と太鼓橋の形状もまた、象徴的に重なります。
春と秋の遷座祭では、神輿がこの下馬橋を渡りますが、これはまるでヌトのアーチ状の体の中を、霊魂や神霊を象徴する丸い物体や大の形が通り抜ける様子と共鳴しているように思えます。
また、切妻造りの屋根を持つ建物は、夜空に輝くオリオン座の五角形(上)を象徴しているとも考えられます。オリオン座は古代エジプトにおいて再生や復活の象徴とされており、その五角形の形は、左右の脚と頂点の角度を「股」と見立てることで、まさに再生・復活の象徴的な形と捉えることができます。
このように、神輿が下馬橋を渡るという行為は、神霊が清められ、再生・復活を遂げる「遷座」の儀式そのものを象徴しているのではないでしょうか。
https://yatsu-genjin.jp/suwataisya/simosya/senza.htm
※ 諏訪大社下社 春の遷座祭 2月1日 のブログより エジプトの壁画の画像はEgyptologyさんからお借りしました。



