諏訪大社の春の遷座祭(2月1日)では、8月1日の遷座と異なり、柴舟は登場せず、神輿のみで遷座が行われます。一般的には、冬季の凍結した路面の危険性から、柴舟を用いない形式になっていると考えられます。
しかし、私はそれだけが理由ではないのではないかと考えています。 柴舟の骨組みがオリオン座の形とよく似ていることに気づいたとき、ふと、一年を通じたオリオン座の天空での動きと遷座祭との関係があるのではないかと思い至りました。
オリオン座は冬の星座で夏はよくみえなくて全然見えない時もあります。
諏訪地方におけるオリオン座の動きを調べてみました。以下のような特徴が見られます。
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7月下旬〜8月上旬:明け方(午前2時半〜4時頃)に東の空に再び姿を現します。
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8月1日頃:オリオン座の全体が明け方に見えるようになります。
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8月下旬:明け方4時ごろ、東の空に低く昇り始めます。
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10月中旬:夜の23時ごろから東の空に見え始め、観測しやすくなります。
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1月〜2月中旬:夜の早い時間帯に、南から西の空にかけて高く見えます。
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2月1日頃(春の遷座祭):オリオン座の三ツ星が南の高い空に、ほぼ水平に並んで輝いています。
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2月下旬〜3月:オリオン座は西の空に沈む時間が早まり、3月にはほとんど見えなくなります。
このように、2月1日頃はオリオン座が空高く、しかも三ツ星が水平に並ぶ特別なタイミングです。 私は、オリオン座=柴舟という象徴的な対応関係があるのではないかと考えています。つまり、冬の夜空に輝くオリオン座そのものが、春の遷座祭における“天空の柴舟”としての役割を果たしているのではないでしょうか。
そのため、古代の諏訪の人々は、春の遷座祭において実際の柴舟を用いずとも、夜空に浮かぶオリオン座を神の乗り物として見立て、神の遷座を象徴的に表現していたのではないかと私は考えます。
また神輿の長方形はオリオン座の方形を表しているとも考えられます。
オリオン座は冥界(黄泉)、舟を表しますから再生、復活の形霊として古代人は認識していたと思われます。
そして8月1日の柴舟の遷座祭は地上(現世)の神の遷座、2月1日の遷座祭は天空(霊界)の神の遷座とも捉えられます。
このような視点から見ると、オリオン座は諏訪の祭祀において極めて重要な天体であり、遷座祭の構成にも深く関わっていた可能性があるのです。
https://yatsu-genjin.jp/suwataisya/simosya/senza.htm
※ 諏訪大社下社 春の遷座祭り 2月1日のブログをお借りしました。




