古代エジプトの神々の中には、帯や紐を身にまとった姿で表されるものがいます。代表的なのはオシリス、イシス、アヌビスなどで、彼らの腰や頭部、首には赤・金・白の帯が結ばれています。
オシリス
イシス
アヌビス
赤は生命力、金は永遠性、白は神聖を象徴すると考えられます。
「結び目」や「帯」は、神聖な力を封じ込め、永続性や霊的結合を表す役割を持ちます。日本でも紐の結びは重要視され、水引など多様な結びの形が存在します。これらは古代エジプトの帯と共通性を持つといえるでしょう。
冥界は死者が辿る場所であり、同時に再生の場でもあります。古代エジプトでは冥界が強く崇められ、帯や紐の結びは冥界との重要な関係性を示していたと考えられます。
冥界の王オシリスは死と再生、豊穣を司り、その腰には帯が巻かれています。アヌビスはジャッカルの姿で冥界の守護神・死者の案内者・ミイラ作りの神であり、その首の帯は冥界からの再生を象徴します。イシスは愛・魔術・母性・豊穣を司る女神で、夫オシリスを蘇らせ、息子ホルスを守った存在です。彼女の頭部には赤色のハチマキ、腰には帯が巻かれています。
これらの帯は長く、左右に広がる形で表現されることが多く、その形は「〇に八」とも捉えられます。私はこの形が日暈(ひがさ)から発想されたものと考えています。日暈は雨の数日前に見られる太陽の現象であり、雨(水)は生命に不可欠な存在です。乾燥地域である古代エジプトにおいて、雨への憧憬は強かったはずです。帯の形は、日暈の円と線を融合させたものであり、〇と△の結合ともいえます。
日暈(ひがさ)
前方後円墳
さらに、この形は日本の前方後円墳にも影響を与えた可能性があると考えます。また、結びの紐は「✖」を表現しているとも解釈できます。帯の結びは、太陽と雨の関係性を象徴する日暈を間接的に表し、再生・復活・変容を意味します。特に冥界の神々の衣装において、この形は強力な力を示すものだったのでしょう。
※ エジプトの写真や絵はegyptoiogyさんの投稿からお借りしました。







