明日香村にある亀形石造物(下の写真)について考察してみます。

この石造物は酒船石遺跡の北西の谷部に位置し、奈良県高市郡明日香村岡に所在します。

 

 

大きさは全長約2.3〜2.4m、幅約2m。2000年の発掘調査で確認された比較的新しい発見です。形状は亀を模しており、丸い目・足・甲羅が彫られています。

頭部(鼻)が取水口となっており、そこから水が甲羅部分へ流れ込みます。甲羅には深さ約20cmの円形水槽が彫られ、水を溜める構造になっています。尻尾部分にはV字状の溝が刻まれ、そこから水が流れ出す仕組みです。

 

南側には小判形(船形)の石造物があり、そのさらに南には湧水施設が存在します。したがって、湧水 → 船形石造物 → 亀形石造物 → 酒船石という水の流れが形成されていたと推測されます。

 

 

斉明天皇(594〜661年)は道教を信仰していたとされ、その思想的影響がこの石造物群に強く反映されていると考えられます。

 

亀形が何を意味しているのかについては、まだ決定的な見解はありませんが、頭部が南を向いている点は象徴的です。南は五行で「火」に属し、情熱・エネルギー・輝き・拡大を象徴します。太陽のエネルギーを最も受け取ることができる方位でもあります。

 

 

 

亀は日本では「鶴は千年、亀は万年」と言われ、縁起の良い動物であり、神の使いとして海神・龍神の使者として登場し、神話や伝承に深く関わっています。古代中国では、亀の甲羅は天と地を支える存在とされ、甲羅を焼いて亀裂を読み取る「亀卜」が政治や祭祀に用いられていたことから、亀は非常に重要な象徴でした。

 

 

日暈の図象(上の図)においては、中心に亀があり、その上に楕円形が重なります。この日暈の形から亀形石造物が考案されたのではないかと私は考えています。中心部分はトーラスの中心とも捉えることができ、再生のエネルギーが循環し、解き放たれる場であると考えられます。

 

南から太陽(火)のエネルギーと水のエネルギーを亀の口で受け取り、亀の長寿と神の使いとしての力が融合し、そのエネルギーが酒船石へと流れ込みます。酒船石は船として天空や黄泉を駆け巡り、その力が永遠に続くことを象徴しているのではないでしょうか。

 

 

また、この聖水で禊を行うことで清められ、亀形石造物と酒船石の力によって願いが叶うと信じられていた可能性もあると考えられます。

 

※ 写真はウィキぺィデアさんからお借りしました。