伊勢神宮・伊雑宮(いざわのみや)の御田植祭における竹取神事の考察

 

 

 

 

 

伊雑宮の御田植祭は、毎年6月24日に行われる日本三大御田植祭の一つであり、長い歴史を持つ神事です。古代の人々の思いや宇宙観が、衣服、掛け声、田植え歌、祝い唄などの習俗に込められていると考えられ、この祭りは古代の真実を探る上で非常に貴重な資料となります。

 

 

祭りの中核をなす竹取神事では、忌竹(いみだけ)を奪い合い、御料田を攪拌する所作が行われます。この行為は単なる儀式ではなく、深い象徴性を持つ霊的な営みです。

この神事は「青の峯の金の玉の奪い合い」とも表現されてきましたが、現代人にはその意味を理解するのが難しいかもしれません。私は「青の峯」とは忌竹の頂上(先端)を指すと捉えています。忌竹を青い山と見立て、その先端を峯とすることで、天界と地上の接点、すなわち神の坐す場所としての峯の意味が浮かび上がります。

 

 

「金の玉」は、忌竹に描かれた松の絵の丸い部分を指し、太陽、霊光、八咫鏡、神霊などを象徴する球体です。古代においては、すべての物事に霊魂が宿ると考えられていたため、金色は稲穂の実りの色であり、「稲霊」とも変換されます。また、八咫鏡の中心は五行の「金」に対応し、天照大神が放つ霊的エネルギーを象徴していると考えられます。

 

 

忌竹を倒すことは、青の峯の金の玉を水田に降ろすことであり、稲霊を地上に定着させる行為です。忌竹で田を攪拌する所作は、回転・渦を表し、再生・復活・変容を象徴します。これは日本神話に登場する「天沼矛(あめのぬぼこ)」を用いて、伊邪那岐命と伊邪那美命が天の浮橋から海を攪拌し、島を創造した神話的行為と重なります。

古代人は、水から神や生命が生まれることを理解していたと考えられます。水田の水、土、忌竹の木、神霊の金の玉は、五行の「土→金→水→木」の相生関係に対応し、生命の循環を表現しています。

八咫鏡の図象

 

 

 

また、「田」は「口に十」の形をしており、「口」は〇に変換できるため、「〇に十字」の形は太陽十字を表し、現世(三次元世界)における神霊の象徴となります。「米」は八咫鏡の図象における赤い線(上の図)であり、再生の重要な形でもあります。

 

太陽十字

 

この竹取神事は、古代の人々が米に込めた強い思いを象徴的に表現したものであり、五穀豊穣、家運隆昌、諸事順調などの願いが込められた祭りであると考えられます。