古代の神話や宗教芸術には、地域や時代を超えて太陽の象徴が織り込まれている。とりわけキリスト教においても、唯一神への信仰の奥底に、太陽神的なイメージが潜在しているのではないか。十字架、ケルト十字、後光、ホスチア、聖水、そしてイバラの冠——それらの形象や儀式の根底には、日暈(ひがさ)という自然現象が深く関与している可能性がある。本稿では、太陽と日暈を鍵として、宗教的造形の象徴的意味を読み解き、古代から現代に至る太陽信仰の痕跡を探る。
古代の神話や宗教芸術——絵画、彫刻、壁画などには、世界的に驚くほど多くの共通性が見られます。キリスト教は唯一神への信仰を掲げていますが、その根底には「太陽」との深い関係があり、太陽神の影響を受けていると感じます。
キリスト教の象徴である「十字架」は、太陽の周囲に現れる日暈(ひがさ)に由来する「太陽十字」の形から来ている可能性があります。ケルト十字もまた、十字架に円環が組み合わされた形であり、この円環は日暈を象徴していると考えられます。ケルト十字はキリスト教以前から存在しており、太陽信仰と融合することで人々に深く愛された形となったのでしょう。
ケルト十字
太陽十字(日暈)
宗教画に描かれる聖人の頭部の光輪は「太陽の後光」と呼ばれ、神の恩寵や聖性の可視化として太陽を象徴していると考えられます。また、ミサで司祭が用いる「ホスチア(聖体)」も、円形で白く輝くその姿から、太陽を象徴していると見る人もいます。
太陽の後光
ホスチア
特に「日暈」は、単なる太陽ではなく、神聖な光の現象として重要視されていたのではないでしょうか。ミサで用いられる聖水も、日暈と雨の関係性から、ホスチアとの象徴的なつながりが生まれたと私は考えています。
キリストの再臨は「東から来る」とされますが、これは太陽が東から昇ることと一致します。伝統的な教会では祭壇が東向きに設けられ、自然と信者も東を向いて祈ることになります。
さらに、キリストの頭にある「イバラの冠」は、日暈の外輪に現れる靄(もや)を象徴しているのではないかと考えています。
イバラの冠
日暈(ひがさ)
古代エジプトや古代日本でも、太陽は神聖な存在として崇められてきました。キリスト教圏においても、古代には太陽信仰が根強く存在しており、その影響は現代の宗教造形にも息づいていると感じます。






