本稿では、大湯環状列石の遺跡から出土した浅鉢形土器に描かれた五角形の構造と文様について考察します。中心の渦巻文、十字形の独特な文様、そして五角形の形状が、縄文人の生命観・性の象徴・祭祀の祈りと深く結びついている可能性を探る。さらに、遺跡内のウッドサークルと五本柱との関係から、五角形が持つ再生の願いを読み解きます。
大湯環状列石の遺跡から出土した浅鉢型土器について考察します。
この土器は、鉢の外形が五角形の構造を持ち、中心には渦巻文様が描かれている。四方には、この遺跡に特有の十字形の文様が配置されており、他の遺跡では見られない独自性を持っています。
五角形の鉢自体もあまり類例がなく、より高い評価が与えられてもよいのではないかと感じています。
五角形にはどのような意味があるのでしょうか。下の図に示された青色の円は足首、茶色は膝、黄色は股を表しており、大湯の縄文人たちは身体の構造と五角形を重ねていた可能性があります。
赤で囲まれた文様は、この遺跡の他の土器にも見られますが、大湯環状列石遺構特有の文様で他の日本の遺跡からは見つかっていません。
以前からこの文様を私は「まぐあい」を象徴していると考えてきました。
「ま」は「股の間」を意味し、男性と女性の「ま(股の間)」が交わる形を表現していると捉えています。文様が十字形であることからも、性の融合を象徴していると考えられます。
中心の渦巻文様は、再生・復活・変容のエネルギーを表していて、胎児が母体から生まれる出る際に回転運動を伴うことを縄文人は理解していたのではないかと思われます。
大湯環状列石は、野中堂と万座の環状列石で知られているが、実は万座の西方にウッドサークルが存在しています(赤い線で囲んだ部分)。この遺構はあまり知られていませんが、極めて重要な意味を持つと考えています。
ウッドサークル
ウッドサークル内には五本の柱が立っており(右上の写真)、そのうち一本は現在倒れているが、柱の配置は五角形を形成しています。
縄文人たちは五角形を特別視し、古代において出産率や乳児の生存率、母体の生存率が低かったことから、五角形と文様に生命の願いを託し、祭祀を行っていた可能性が強いと思われます。





