借り物ですが、SVBONY SV605CCを使ってみたので、手持ちのカメラと比較してみたいと思います。 

スピード重視、短時間での電視観望をやっていますので、カメラに求める最重要項目は感度です。長時間露光時のSN比よりも、多少のノイズは我慢するので短時間露光でどこまで映し出せるか、キレイさよりも形が分かるかどうかを重視したいです。そんな視点で、これまでに使ったことのある①ZWO ASI385MC、②ZWO ASI294MC、③SVBONY SV605CCの感度を比較してみたいと思います。 
 

             ①ASI385MC  ②ASI294MC  ③SV605CC 
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センサー          IMX385    IMX294    IMX533 
センサーサイズ(インチ)  1/1.9     4/3     1インチ 
ピクセルサイズ(μm)    3.75     4.63     3.76 
冷却機能           なし     なし     あり 


感度はピクセルサイズとQEで決まります。そこにノイズが乗ってきて、最終的な画像が出来上がります。いくら感度が高くても、ノイズに埋もれてしまっては何も見えません。つまり、着眼点はピクセルサイズ、QE、ノイズの3点なのですが、ノイズの発生原因がいろいろあるため、結局は実際に撮影して比較するのが早いと思っています。 

上記3点の他に、ADCやフルウェルキャパシティーなど画質に影響を与える項目がありますが、「画面のキレイさは二の次、対象物の形が確認できればいい」という立場ですので、優先順位は低いです。 

 

さて、スペック上は、ピクセルサイズの大きい②が有利なように思います。IMXセンサーの型番は、百の位が世代を表しています。つまり、①が第3世代、②が第2世代、③が第5世代のセンサーです。センサーの世代が新しい③は何らかの進化がみられるかもしれません。ただし、世代が違ってもQEは75~80%程度と大差ないようです。 

①は故障してしまい使えませんので、過去に撮った画像を使用します。実機の機能として、冷却あり/なしの違いがありますが、比較のために③は冷却OFFで評価します(そもそも、今の季節で短時間露光の撮影なら、冷却ON/OFFはそれほど影響が無いと思われます。)。 

過去のASI385のデータで、「ゲイン300、露光30秒、5枚ライブスタック」があったので、これと比較するために、同じ条件で、ASI294、SV605を使って撮影してみました。 

撮影条件:鏡筒kenko SE120、QBPフィルターII使用、ゲイン300、露光30秒、5枚スタック 

①ASI385MC(2021年1月撮影)↓

 

②ASI294MC(本日撮影)↓

 

③SV605CC(本日撮影)↓

 

F5の同じ鏡筒を使用していますので、センサーサイズによって画角が変わっています。やはり、②は画角が広くでDSOの観察には有利です。感度という観点では、3つとも大差ないように思いますが、②が星雲の淡い部分まで描画できているようで、若干ですが感度が高そうです。やはり、巷でも人気がある②ASI294MCが無難な選択と言えそうです。

 

作業中に気づいたのですが、①②③でゲインのMAX値が異なり、①と③が600、②が570です。MAXゲインでの比較もやってみたかったのですが、今日は外があまりに寒く、早々に撤収してしまいました。

 

話はそれますが、本日撮影の2枚には人工衛星がいくつか映り込んでいます。僕は全く気にしていないのですが、「作品」を撮影されている方は気になると思います。最近、画像に映り込む人工衛星が増えてきていると感じています。人工衛星の打ち上げ数はググれはすぐに出てきますが、ここ数年で飛躍的に伸びています。これにより便利になる面もあるかと思いますが、天文学の研究者たちが観測する際にも、人工衛星の光が邪魔になっていて問題になっているようです。確かに、素人がちょっと撮影しただけで、これだけ衛星が映り込むのだから邪魔になるんだろうなあ、と実感した次第です。