梅雨が明けても曇り続きで観望の機会がありません。メンテナンスがてら、望遠鏡を分解したのでレポートしたいと思います。

 

僕が主力で使っているのは、ケンコーのSE120で、短焦点のアクロマート望遠鏡です。この望遠鏡には兄弟機種がありまして、下記の5機種になります。販売ブランドはケンコー、SkyWatcherと異なりますが、製造は全て旧シンタ社です。同じような品質であると思われ、このレポートが参考になると思います。

 

 

  ブランド 口径[mm] 焦点距離 f[mm] F
短焦点 SE102 ケンコー 102 500 4.9
SE120 ケンコー 120 600 5
BK150750 SkyWatcher 150 750 5
長焦点 SE120L ケンコー 120 1000 8.3
BK15012 SkyWatcher 150 1200 8

 

これら5機種は、いわゆる「大口径アクロマート」であり、特に口径150㎜は、市販されている屈折望遠鏡の中で最大口径になります。アクロマートは安価なため、大口径でも比較的手が届きやすいです(口径100㎜オーバーでアポクロマートなら最低でも20万円程度はします。)。

しかし、アクロマートは安い代わりに色収差という弱点があります。特に色収差が大きく出る短焦点の3機種は「買ってはいけない」とまで言われることがあります。ただ、アクロマートの色収差を補う方法がありまして、このブログにも過去にいろいろ書きましたが、この動画を見ると分かりやすいです。

 

つまり、アクロマートで焦点が合う波長のみを通すようにフィルターを使えばよいわけで、QBPフィルターとIRカットフィルターをセットで使うと最強です(QBPフィルターは赤外線を通してしまい、アクロマートでは赤外線の焦点は大きくズレます。カメラは赤外線への感度が高いのでIRカットフィルターをセットで使用した方が良いです。)。

 

使い方次第でアポクロマート並みの見え味を実現できる、お買い得なアクロマートですが、安い鏡筒であるがゆえに、作りがしっかりしていない部分もあり、少し心配です。前置きが長くなってしまいましたが、今回はケンコーのSE120を分解レビューします。

 

↓分解したところ。

分解は簡単です。真ん中のレンズユニットを反時計回りに回して外します。その後、レンズフードを外します。レンズフードはネジではなく差し込んであるだけなので少しずつずらすようにして外します。

 

 

↓銘板はシールです。少々安っぽいですが、値段相応でしょうか。

 

 

↓フォーカスノブはアルミ製で剛性があります。

 

 

↓実はSE120を2台持っており、後期型は滑り止めゴムの形状が少し異なります。

 

 

↓ラックピニオン。

思ったところでピタリと止まり、ピント合わせの精度も高いと思います。

 

 

↓レンズコーティングの様子。

蛍光灯の反射光が3つ見えます。上から、張り合わせ面(白)、接眼側面(緑)、対物側面(紫)だと思われます。緑、紫に見える面は何らかのコーティングがなされているようです。レンズを真上から見るとニュートンリングが確認できます。レンズのコバは白く見えるので、コバ塗りはされていないようです。スズ箔が飛び出ているようなことはありません。

 

 

↓鏡筒内部(対物レンズ側から撮影)

手前側に少なくとも2枚の遮光環があります。さらに奥にも遮光環がいくつかあります。

 

 

↓鏡筒内部(接眼レンズ側から撮影)

内部は全体的に反射防止塗料が塗られていています。手前にある遮光環の接続部6点から少し光が漏れているのと、右下(5時の位置)にネジの飛び出しがあるのが気になります。(前後から光を当てて撮影しています。右下の大きな青白い光はアイピースを止めるネジの先端に光が反射しているものなので、見え味には影響しません。)