先日、惑星などの高倍率観望用にSE120Lを導入しました。これで、SE120=低倍率(DSOなど)、SE120L=高倍率(月、惑星など)、と使い分けができるようになりました。
ただ、SE120LはSE120に比べて長くて重く、その分セッティングも面倒です。本当にSE120Lを使う意味があるのか気になるところです。
アクロマートレンズは、安い、軽い、温度順応が早いという利点がありますが、アポクロマートと比較して色収差が大きいレンズです。色収差は、焦点距離が長いほど小さくなり、例えば焦点距離が2倍になると色収差は2分の1になります。SE120とSE120Lの焦点距離は600mmと1000mmなので、SE120Lの色収差はSE120の60%で済むはずです。
このように理屈の上では、SE120Lは色収差がかなり低減されているはずです。実際の観望で、この差を感じることは可能なのでしょうか?月で確認してみることにしました。
SE120とSE120Lで、月を直焦点撮影した結果です。カメラはSV705Cを使用し、バローレンズやレデューサー、フィルター類は一切使っていません。
SE120↓

SE120L↓

焦点距離が異なるため、倍率が違います。望遠鏡の解像度の指標に使われるクラビウスクレーターが左下に見えます。明るさを同程度にするため、SE120Lの方がゲインが高いです(SE120のゲインが300、SE120Lのゲインが400)。同じ倍率に拡大して確認してみます。
左SE120、右SE120L↓

全体的にSE120Lの方がクレーターの凸凹が鮮明に見えています。双方とも、エッジ部分では、内側に黄色っぽい、外側に青っぽいにじみが見えますが、このにじみもSE120Lの方が少ないように見えます。
劇的な差異ではないかもしれませんが、性能差はあるようです。
SE120Lに追加でQBPフィルターを装着すればさらに良くなります。
左SE120L(上と同じ写真)、右SE120L+QBPフィルター↓

SE120Lは、SE120と比較して焦点距離が伸びたとはいえ、やはりアクロマートです。アポクロマートのようにはいきません。フィルター併用は必須と考えたほうが良さそうです。