『アルトデウス:BC』 全ルートクリア後のネタバレ感想 | オーシャンズロデオ

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 VRインタラクティブストーリーアクション『アルトデウス:BC』の感想記事です。

 各エンディングの内容や道中の描写など思いっきりネタバレしてるので、プレイ中の人はもちろんのこと、アルトデウスBCを知らないという人もこの記事は回避してくださればと思います。今は興味がなくともいつかプレイなさることがあるかもしれませんし、ぜひそうしていただきたい作品なので。ネタバレ無しの紹介記事を前回書きましたので、興味がありましたらそちらを見ていただければと思います。

 

 ということで以下、クリア後の感想です。

 

 

 

 

【以下ネタバレ注意】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話したい事いっぱいあって何から語るか迷いますね。もう全体の構成とか考えないでとりとめもなく早口で好きに語っていくことにします。

 2体目のメテオラの中にでかいコーコ(仮)が入ってたあたりからもう世界観の虜でした。『カールじいさんの空飛ぶ家』のような「親しい者の死とどう向き合うか」という話が個人的に好きなのもあり、またその過程でよく描かれる「故人の幻を追い続けているキャラ」自体もすごく好きなので、そもそものクロエとコーコの関係がかなりツボでしたね。自分はメインキャラクターの簡単なプロフィールすら読まずにアルトデウスを始めたので、いきなりメインヒロインっぽい子がもう死んでて主人公がその影を追っているという設定に心掴まれました。で、進めていくとコーコを食ったメテオラの中からでかいコーコが出てくるという。クロエの気持ちに完全にシンクロしてました。なんで!?って。

 そのあとは1周目なのでまあ順当にメテオラと飛び立つエンドでした。エンディングの破滅的な美しさもよかったんですが直前のデイター司令との会話シーンが心に食い込みましたね。実はメテオラを逃がす方法があるのだよ…ってやつ。あれだけ最初の戦闘で「がんばれクロエ!人類の敵であるメテオラを倒せ!」みたいなノリノリの演出でやっつけたのにそのメテオラが実はそんなに悪いやつでもないのかも…という事実は結構な衝撃でした。不穏さと美しさを合わせ持つようなBGM(『Disturbing』)もあいまって1周目の中ではかなり好きなシーンです。

 で、驚いたのが2周目の再序盤。1周目の記憶を夢として(夢じゃない)かすかに引き継ぎつつ始まるという楽しさ。自分は周回前提のアドベンチャーゲームってほとんどやったことないのでひょっとしたら一般的な手法なのかもしれませんが、主人公がシナリオをもう一度周回することに作中できちんと設定づけがされていて記憶の引き継ぎも演出に取り入れているというのはこいつぁよく考えられてるな……と感心しました。しかもそのあとブリーフィングの最中に「君には教えておこう…」と司令の言葉がフラッシュバックする演出。超わくわくしました。ゲームにおける「こういう行動ができるぞ、さあやってみろ」という展開の中で一番好きかも。まあそのあとミラージェネレーターとカウンターアローを取り違えたりしてしばらく詰まっちゃったんですがw

 人型メテオラの調査(表現上省かれてるけど乳首もコーコと同じなのかな?という疑問が頭から離れませんでした。たぶんクロエも同じ気持ちだったと思います)を経て、十字架メテオラ出現からの大迫力怪獣プロレスのシーン。すばらしかったですね。これまでもマキアの操縦やノアのライブでVRならではの演出は堪能していましたがここで改めて「VRすげえ!」と震えました。このシーンはとにかく「でけえ!」とか「クロエを守ってくれてる!?やっぱコーコじゃん!」とか「股間丸出しやんけ!」とか「股間もコーコと同じなのかな?」とか「でけえ!!」とか「コーコのケンカキックが決まったァー!!」とか「十字架メテオラももっとがんばれ!!」とか色んな感情が同時にやってきてすごかったです。ノアもたまにデカくなるし1周目のエンドもデカい人型メテオラに包まれるしこんな怪獣バトルもあるしで宣伝動画じゃ一切わかんなかったけどこれとんでもない巨大娘(巨女)フェチゲームだな最高だな!という気持ちと、こんな姿になってまで健気すぎるだろコーコ(?)……という気持ちがぶつかりあってましたね。

 そこからの共闘展開もアツかったです。「人型メテオラと共闘したまえ」の一言でうおおっ!と燃え上がりました。で実際にマキアが地上に出るとコクピットから人型メテオラが見えてしっかり味方の位置にいる。これはアツい演出でした。ゲーム上の処理とかシナリオ上の展開とか色々めんどくさいからヤマト君おやすみにしたなこれwとも思いましたが実際そうさせるだけの理由があったしそれも計画の一端だったのは驚きました。ここの戦闘ではこれまでのお決まりのシークエンスをブチ破って十字架メテオラを投げ飛ばすとこが気持ちよかったです。うひょームチャクチャだねえ!みたいにハシャいでるジュリィもいいw いいぞもっとやれ!って感じでした。人型メテオラ覚醒からこのバトルまでの一連の流れは、これまでずっと休止していた人型メテオラが味方として思いっきり動いてくれるのと、ほら見ろ人型メテオラはやっぱり敵じゃないんだ!守ってくれてるもん!と証明できたこととですごく爽快感がありましたね。

 たぶん計算して作られてると思いますがその爽快感の直後にまた大きな謎というかハッとさせるシーンがくるんですよね。アニマ初登場シーン。自分はデカい女が好きなので「あーちっちゃくなっちゃった」と惜しい気持ちもわずかにありましたが、それはともかくとしてここから話が一気に面白くなるんですよね。物語にブーストがかかるというか。コーコなのかなんなのかわからなかった人型メテオラが実際に近くに来て活動を始めるという。クロエ視点の話(=文字通りプレイヤー視点の話っていうのがVRアドベンチャーのすごいところ)としてもめちゃくちゃ複雑な心境だし、SFモノとしてもかなりわくわくします。このあたりからもう「早く進めたい!」という気持ちが急加速してました。没頭してると時間を忘れるんですよね。VRゲームは疲れるから30分くらいが限度だなと思っていたんですがこれは気づいたら2時間くらいやってたりとか。

 

 そこからはアニマルート(赤ルート)に進んだわけですがこれが本当によかった。とにかくアニマがかわいい。車椅子に乗って遊んだりとかリボンを頭につけようとしたりとかの動作だけでもほほえましいのに「読んでもらいたい本を持ってくる」という、こっちを信頼している幼児さながらの行動には完全に心を掴まれました。本といえばピュラモスとティスベの物語の演出も最高でした。コーコとクロエの関係のなぞらえになっていて、前向きな死で終わるこの話をコーコはハッピーエンドだといい、クロエは救いようのないバッドエンドだと評するという……。赤ルートのみならずトゥルールートにも関連づいた話ですよねこれ。で、アニマもまたこの話を何度も何度もせがんでくる。本の好みもコーコと同じ、というだけではなく、死んでもまた一緒だというこの話を肯定することでコーコ=アニマという図式が示されるのはすごく美しくて、「この話のどこがいいんだ?悲しいバッドエンドなのに…」というクロエの台詞も含めて大好きなシーンです。サンルームに連れ出して実際に読み聞かせるシーンのアニマがすごく幸せそうな表情をしてるのが……

 あとアニマに初めて近づいていくシーンも大好きです。ようやくアニマと実際に触れあってのコミュニケーションをとれたという高揚感もあったんですが、言葉ではなく触れて理解しあうというコーコの台詞のフラッシュバックに加え、アニマがついに「く……ろ……え……」と名を呼んできたのがこう、もう後戻りのできないところまで来てしまった感じがあって、希望でもあり絶望でもあるような感覚になりました。ここで流れるサンルームアレンジの曲の不穏さがそれを後押ししていて、視点固定型の表現もあいまって完全に世界の虜になってましたね。さらに指まで噛まれるので高揚も不安も倍増するんですが初プレイの時はここで噛まれてるのではなくしゃぶられているのだと勘違いし「あの純真なアニマちゃんが指咥えてきた!?エっロ!!」という気持ちにもなりましたw それはともかくとしてこのシーンの危うさは本当に大好きですね。アルトデウスで一番ドキドキしたシーンはここだと思います。部屋の赤さがまた不穏な空気を盛り上げる……。

 アニマルートは市街地のシーンも好きなんですよね。「私を監視するつもりか」と言い放つあたり。このルートではアニマをコーコだと見なして大切にしようとするクロエに感情移入しまくっているので、アニマとクロエのことみんなもわかってくれよ、という気持ちに傾いているんですが、それとはまた別のプレイヤーの視点で、ああ……クロエがおかしくなっていってる……という不穏さも感じていて、指噛まれるところ同様にその感覚をここで十分味わえるみたいな。いやアニマルートはハッピーエンドの形のひとつだと思うんですが、それはそれとして「事態がどんどんよくない方向に向かっていっている感じ」が濃厚で、そこが妙に好きなんですよね。

 あと指を噛み千切ったあとのシーン。こんなもん見せられたらうおおっアニマは俺が絶対守る!ってな気持ちになりますよマジで。アニマルートの終盤はクロエがどんどん疲弊していったり仲間たちに糾弾されたりという描写が多いんですが(前述したとおりそこが好きなんですが)、このシーンのおかげで迷わずにアニマを守ろうという気持ちになれるのでよく考えられてるなと思います。それとジュリィのサポートもアツくて良かったですねw トゥルーエンドまで見たあとまたここを見ると「失敗しちゃったかな」の心境が想像できて面白い。そのあとにクロエたちのサポートをしてくれるのはどういった心境だったんでしょうか。ひょっとしたらすべてを投げ打ってでもアニマを守ろうとするクロエに自分を重ねていたり……? 

 ラストバトルはもう最高でした。あの歌い出しは反則ですよ。しかもたびたび歌っていた例の歌のアレンジ。本当に鳥肌が立ちました。このシーンのために歌でマキアを動かすという設定を作ったのかと思ったくらいです。そんでもってヤマトも最高でしたね。前夜の語り合いを経てまさかこんな展開になるとは、という驚きもあったし、声優さんの熱演にも魅せられました。「敵ってことでいいんだな!?」の声に含まれる若干の迷いというか、今からでも否定してくれ、みたいな感情の揺れが入ってる感じがして、ヤマト自体もここで一気に好きになりました。「ついてくるなと言ったはずだ」「話はまだ終わってねえって言ったはずだぜ俺は!」のやり取りとかも実にいいですね。美しいBGMとヤマトの絶叫とがミスマッチなはずなのにバッチリハマっていて、魂を持っていかれそうになりました。

 敗北ルートに入った途端ものすごい打ち切り感が出るのはちょっと笑いましたがそれはそれとして、全体的にアニマルートは雰囲気がとても好みでした。謎こそ残ったままですが、ピュラモスとティスベ同様に、バッドエンドorハッピーエンド?みたいな感じもあり、色んな方向から魅せられてしまいました。名付けたあとも仲間たちの中で唯一ヤマトだけが最後まで「アニマ」という名を口に出すことがなかったのも好きですね。

 

 ノアちゃんの話。

 ノアちゃんはあの両手を重ねて首を少し傾げるポーズでグッと心を掴まれました。コーコとまったく同じポーズ。そりゃクロエも拒否反応出るよな、と思っていたのですがのちにわかるノアのやろうとしていたことを思うとあまりにも健気でホロッと来ますね。初戦のメテオラ撃破後も「嬉しかったらにっこり笑ってみせろ!」なんて言ってたり。ノアは徹底して人形なんですよね。序盤のクロエ視点では自分勝手な存在に見えたりもするんですが、人に寄りそうもの、人を癒すものとして生まれていて、根本の部分でめちゃくちゃ献身的。ノアの行動原理の3番目の欄にあの文面が表示されたときには目頭が熱くなりました。そんなノアに対してクロエが今後ずっと寄り添うと決めて、もうノアは与えるだけの人形じゃなくなった……というラストはじーんと来ました。アニマルートではピュラモスとティスベが物語の比喩として使われてましたがノアルートではピグマリオンとガラティアが同様の使われ方をしていて、コーコに人形から人間にしてもらったクロエ、クロエに人形から人間にしてもらったノア……と重なるのがすごく綺麗です。ノアver2も救いたかったけど(手を取らなかったときのバッドエンドはあんまりにバッドエンドすぎて笑いました)、あのサンルームで心行くまで語らうのがノアver2への手向けになるのだと思うとやっぱり綺麗なエンディングですね。

 エンディングといえばあと最後のノアの笑顔。クロエの最終的な選択を受けてノアが泣きながらも最後にすごく弱々しくも柔らかい笑みを浮かべるシーンが感無量でした。ノアルートでは笑顔という要素が何度も出てきて、ノア主観のシーンでも「笑顔……楽しい時や嬉しい時に人が浮かべる表情だ」と改めて強調されてましたが、最後の最後にはクロエだけじゃなくノア自身も笑顔になったというのがニクい。あれはコーコエミュの笑顔でもなく、クロエを笑わせるという目的に根付いた笑顔でもなく、ひょっとしたら生まれて初めての純然たるノア自身の笑顔だったんじゃないでしょうか。

 あとノアルートも謎を解き明かしていくのが面白いんですよね。序盤ルートでは「今何が起きているのか」とか「メテオラとはなんなのか」とかの、事実を解き明かすタイプの謎がメインですが、ノアルートに入ると一気に「ノアは何を思い何を考えていたのか」というとても個人的で情緒的な謎にシフトしていくのが印象的。ノアルート単体だとクロエが過去へのこだわりを捨てて今に目を向けたというお話ともとれて、そのへんにカタルシスを感じました。全体的にコーコを失ってしまったことのリベンジとしてコーコとノア(とクロエ)が重なる演出が多かったのも好きなところ。前述したガラティアの話もそうですが、「衝動のままに紡がれる言葉のこと」の台詞の再来とか、クロエがコーコに思ったようにノアに対してもまた「お前にひどい言葉をかけた…」と後悔するところとか、すごくよかったです。あとエンディングで降ってくるかけらに電子的なノイズが入っているのもいい感じ。物語の余韻として地味ながらも好きな部分でした。あとここでタイトルに戻ってから思ったんですが、『Beyond Chronos』というのはクロエやコーコが時を越えて奮闘したりコーコエンドでまた生まれ変わったりジュリィの最終目標だったりで物語の色んな部分にかかってるサブタイトルだと思いますが、ノアルートの場合も演算空間での時間引き延ばし無限エンドということでこれもまたBeyond Chronosなんですね。ピクサーの映画『ファインディング・ドリー』とか、これは超マイナーですがPSのギャルゲーの『アナザーメモリーズ』とかもそうでしたが、タイトルに複数の意味があるやつって大好きです。

 ノアはノアルートのみならずトゥルールート(便宜上そう呼びます)もイイんですよね。ローポリの姿や菱形のオブジェクトにされたノアには何かこうエロさを感じてしまいましたw 別にガチガチの状態変化フェチということではなくて、ああやっぱりノアはグライアイで見えてるだけの拡張AIなんだという事実を目の当たりにしてしまった気まずさというか、アニマの中のメテオラが見えるシーンなどもそうですが、こいつ人間じゃないぞ、というのが改めてありありとわかる感じが妙に官能的でした。基本的に百合っぽいのもあいまってすごく背徳的。……なんか自分がしたかった話とはちょっとズレてきてしまいましたがそのへんのやつはまあだいたいわかっていただけるかと思います。

 トゥルールートでのノアを連れ戻すバトルも大好きなんですよね。戦闘開始と同時にゲーム序盤で聞いたあのライブの曲(Song of Victory)が流れ出してもう盛り上がりました。涙ながらにクロエに攻撃を放つノアがすごくいい。バトルの途中で「クロエ…笑顔にしたい人…」というアレが挟まれるのとか最高でした。こういう演出を照れずに全力でやってくるのがいいですよね。このバトルは2回目の解析をすると敗北からのリセットになっちゃうのが意外でしたが(あの殻を破れ、とヒントは出ていました)、コーコとの会話を思い起こすと納得がいきました。イチゴの甘さで包むか、バラのトゲで突き刺すか、というあの会話。相手の気持ちを汲むのか自分の気持ちを押し通すのかということですが、このバトルの場合、ノアは自分が消えることでアルトデウスを生み出すまいとしているので、その気持ちを汲んでしまう(ウェーブを解析してしまう)とノアを救うことはできない……という。そういう風にとると、ここはノアの気持ちを読むのではなく、私はお前を連れて帰りたいと思ってる!だからそうする!とばかりにカウンターアローを返してレールキャノンをブチかますのが正解ということなんだろうなと腑に落ちます。レールキャノン直前にBGMが止まって、撃ってからサビが再開されるあの演出も大好き。撃たれたノアも穏やかで幸せそうな表情に見えるんですよね。お前は私が連れて帰る!バケモンが出てくるならお前と私で一緒に戦おう!と言ってのけるクロエもめちゃくちゃかっこよかったです。クロエは悩んだり困惑したり泣いたりが多い主人公なのですが(そこももちろん好きなんですが)、このシーンのクロエはノアを救うヒーロー(ヒロイン)になっていてただただかっこよかったですね。ノアちゃん視点でクロエに救われるVRが欲しいとすら思いましたw その後アニマと合流してからの「気が向いたらな」という優しい声色にもドキッとしましたね。トゥルー終盤のクロエはすごく人格者になっているのでおそらくマジで一緒に歌ってあげるんだろうなと思います。ノアちゃん中心にアニマとクロエも参加するVRライブ配信まだ?

 あとここで手をとるシーンは感動しました。これまで触れることかなわなかったAIであるノアと初めて「手と手を重ねる」というシチュエーションと、実際に手に伝わってくる手ごたえ、「初めてだな…お前に触れるのは」に対するノアの泣き顔……と、複数の演出が噛み合っていて感情を大きく動かされました。VRであることと作中のシナリオとを組み合わせて最大限に活かした屈指の名シーンだと思います。

 

 デイター司令のはっちゃけシーンもよかったですね。上をとられてからの、やはり銃は火薬式に限る……という流れは正直すごくかっこよくて、立場としては悪役だしノアとアニマを犠牲にしようとしている憎き敵なのに、うおおっデイター司令くそかっけぇ!という気持ちも芽生えてましたw あなたが教えてくれた旧時代の銃の仕組み…あれは本当に面白かった…と言いだした時点で「おーっとこれはひょっとして!?」みたいなワクワク感がありましたねw

 デイターは狂信者的なキャラですが、ロストチャイルドとしてのつらかった幼少期にメテオラに神々しさを覚えたことと地上で太陽光を浴びた体験とが結びついてしまってメテオラに救いを求めるようになってしまった……と、狂ってしまったことにしっかりと背景があるのがよかったです。あとジュリィとの関係性もいい。お互い利用し合う存在ではあるんですが、特にデイターからジュリィへは単純な利用価値だけではない感情があるのが端々から伝わってきます。若きメテオラ崇拝者のデイターにとってジュリィは自分の理想をかなえてくれるかもしれない素晴らしい人に見えたんじゃないかと。最終講義のシーンではジュリィ側からデイターに対して「君は宗教に偏りすぎてしまった」と残念がられていますが、1周目のサンルームのシーンでは逆にデイター側から、

なんて言ってて、いやこの二人の関係性はほんと地味にすごく好きですね。利用し合う仲でありながらもかつては同志だったというか、お互いに「アイツがああいう思想に行っちゃったのは残念だなあ、もったいないなあ」と惜しんでいるようなところがあって、単純な言葉では言い表せないとても熱い関係だと思います。アオバとのやりとりなども含めてデイター司令は悪人ながらもかなり魅力的なキャラクターですね。掘り下げというか補完があったら見たい……ひょっとして小説で語られてたりするかな? まだ小説読んでないんですよね。せっかくなら東京クロノスやってから読もうかと。

 

 トゥルーエンド2種の話。こんな残酷な選択ある?

 さっきもチラッと言いましたがトゥルールート終盤のクロエって本当に人格者なんですよ。ノアを遠ざけるのをやめて心を通わせることができてるし、アニマともコミュニケーションの方法を一緒に考え、若干過激な発言をするヤマトに対しても「私を心配してくれてるんだな、ありがとう」とまで言えるようになっていて、いやそこに関しては露骨に良い子になった感があってちょっと笑いましたが、とにかく人当たりがよくなっていて声も全体的に優しくなっているように感じました。ノアに対してもヒーローだし。そんなふうに立派になったクロエが、ここに来て、まるで子供のように、「いやだ……いやだよ、コーコ……」と涙交じりの声を漏らす……。自分はもうここで、コーコでも世界でもなくまずクロエを救ってあげたい気持ちになってました。なのでしばらく撃てずにいたんですが、「クロエ、おねがい……」と台詞が表示された時にメッセージ送りのつもりでBボタンを押したら「ドン!!」とか言って銃弾が発射されちゃったので「うおぁぁー!?ゴメーン!!」となりましたw トリガーじゃなくてボタンでも弾出るんですねw

 という流れで「撃ったエンド」を見ました。エンディングとしてすごくよかった……。晴れた地上にみんなが集まっている時点で感慨深かったし、アニマが走り回ってるのも「ああ平和になったんだな」と実感できてよかった……。役目を終えたかのようにたたずむマキア2機もいい……。ノアの「わたしたちの歌声を あいつのいるところまで――」という台詞で涙がこぼれそうになりました。それとヤマトの台詞。他の仲間たちのようにアニマをアニマと呼ばず「あの特殊個体」とか「メテオラ」と呼び続けたヤマトがごく自然にサラッと「いくらノアとアニマでもよ」と口にしているのがよかったです。初回プレイ時は気づかなかったんですがこういうさりげない表現は大好きですね。あと「お墓」という言葉がクロエの口から出てきたのも胸に来ましたね。最後にクロエだけがフッと仲間たちのサークルから外れて、枯れたダリアを一人見る……という構図もよかったです。クロエは本当につらい決断をしたので好きなだけ寂しくなっていいと思います。ここで流れる「Star of Hope」も泣けるんですよね。寂しくも明るい曲調の歌なんですが、サビの勇ましい歌声と情感のあるメロディのコンボで「コーコのいなくなった世界で必死に生き抜くことを誓ったクロエの歌」感がバリバリに感じられて、このルートのED曲としてもアルトデウス全体のシメの曲としてもめっちゃくちゃ好きです。公式サイトで実際にクロエの歌として紹介されてるしサントラの歌詞を訳してみるとモロにクロエの歌なんですよねこれ。さらにそのあとタイトル画面に戻ると地上の風景に変わっていて、「Star of Hope」のピアノアレンジが流れているという……。ひょっとしたらエンディングの最中よりそのタイトル画面が一番泣きそうになったかもしれません。これまでも各エンドのあとにタイトル画面が変わっているという仕掛けがありましたがここに来て曲まで変わったのでその演出にやられました。

 とはいえクロエはやっぱりかわいそうだからコーコと一緒にいさせてやりたい、という気持ちもありましたし銃の場面で分岐がありそう、ということで次は撃たずにずっと待ってみることに。すると別エンドに進んだので「おお……!救いがある……!」と感動しましたw こっちのエンドも好きですね。今までコーコはクロエをずっと、生前も食われたあともずっと導いてきた存在で、常にクロエの数歩先を進んでいるのでクロエは絶対にそれに追いつけない、というような関係があったかと思いますが、ここで初めてクロエがコーコの手を取って身を寄せて(ここのスローモーション演出すごくよかった…)、「私の気持ちをお前が決めるな」と主張することで初めて対等な関係になったというか、そこに妙な充足感がありました。バラのトゲで突き刺してみせたってことでしょうか。ここはさりげなくコーコの頬に涙(汗?)が浮かんでいるのもいい。やっと2人一緒になれたのでもうそれだけで十分です。ここでED曲として流れるのがコーコの歌(「Star-t」)っていうのもいいですよね。コーコは世界を救うために懸命に頑張っていたのですがこのエンドでも最後にはクロエの選択を受け入れていたのでこのエンドでも幸せなのだと思います。クロエの方はむしろこのエンドのほうが幸せそうなんですが、コーコの気持ちを汲んで生きていくほうのエンドもすごくいいし、どっちが良いかと聞かれたら答えが出せません。どっちもトゥルーエンドって感じですよね。実際にどっちの選択でも最後の大きな星にたどり着いたことになってるのはすばらしかったです。

 あとスタッフロールの最後の2人の演出は最高でした。1割くらい「うおおっパンツ見えるかも!!」という気持ちもありましたが、感動して眺めてましたね。あれめっちゃ広い部屋でやれば前に回って顔とかも見れるのかな……? あと演出といえば、撃ったエンドではダリアの花びらが1枚だけ空に舞うのに対して撃たないエンドではスタッフロール最後に2枚舞ってくるっていうのがこう……このゲームいいよなあ……ってなりますね。

 

 という感じでバッドエンドを含めた全エンディングを見ましたが、久々に「クリアしてしまって寂しい」と思えるくらいのゲームでした。エピソードヤマトも買って楽しみましたが配信まだのプラットフォームもあるみたいなのでここでは書かないでおきます。

 本編の話に戻りますがジュリィも好きですね。東京クロノスは未プレイかつ小説もまだ読んでない(せっかくなら東京クロノスやったあとに読みたい)のでジュリィの詳しい経歴は知らないんですが、純粋にキャラクターとして好きです。衣装もエロいし顔もエロい! あと台詞がいちいちエンターテイナーというか常に物事を楽しんでるみたいな感じで、「コーコちゃんが会いに来たのかもしれないよォ?」とか「かわいそう?アニマがかわいそうに見えるのォ?」とか、内容は悪辣なのにどこか憎めないというか、声優さんの喋りがガンハマリしてるのもあって、この人が誰かをいじめてるところをもっと聞いていたいとすら思いましたw 一番好きなのは捕らえたノアに対する返しの「星になる?」という台詞。煽り目的で赤ちゃん言葉で話しかけるようなニュアンスを声色だけで完璧に演じ切っていて最高でした。一方で終盤では真面目なトーンの声も出すし、過去の実験成功シーンではふざけた感じなしに純粋に嬉しそうな声だったりするのもハッとさせられましたね。ジュリィのみならず声優さんは全員ほんと上手かったです。感情の起伏を声に込めるのがみんなマジで上手い。声優にはぜんぜん詳しくないんですが、参加声優全員好きになりました。

 

 あとはとりとめなくてすみませんがvsヤマトのレールキャノンを低出力で撃つとヤマトが死なない、という話をプレミアムトークショーで聞いたので先日実行してみました。65%で撃ったところ爆発せずに生存ルートに入りましたw お話としては100%でブッ放してクロエー!!で終わったほうが綺麗だとは思いますがこういう細かい分岐があるのはすごいですね。生存パターンだとアニマの悲しそうな振り返りも無くなっていたので、あの振り返りはやっぱりヤマトを案じてのことだったんですね。

 細かい分岐といえば最終決戦での選択。初回のウェーブを解析するとノアとアニマが弱点を教えてくれますが、二回目のウェーブを解析すると序盤で逃がしたメテオラ君が助けてくれるのがアツくてそっちも好きですw 最後の「流れ星は好きか?」→「嫌いだねぇぇ!」→サビが流れて必殺ビーム の流れも最高でした。試してみたところここは15%くらいの最低出力でも普通に倒せてちょっと笑いましたが、ラスボス戦だし盛り上がりを削がずに気持ちよく勝ってもらおうという気づかいが感じられていいですね。

 戦闘は他にもかなりの分岐があるようで、ミラージェネレーターの起動に失敗するとアオバが疑似障壁を出してくれたりとか、VSノアにおいてもどこで失敗するかでノアのゲーム―オーバー台詞が変わったりとか、ちょっと試しただけでも色々あって面白いですね。クリアデータのない初見時に初戦のソーンウェーブ解析できるかどうかとかも気になるので今度試してみようと思います。

 あと戦闘分岐以外にも作り込みがすごいなと思った部分が多々ありました。例えばパトロクスがスフィア内で住民の不安を煽るシーン。このシーンでヤマトが慌て、アオバが悲嘆する間、ノアがずっと黙ってるんですよね。

 すごくこう……しれ~っとしている感じw 特にこの二枚目の画像のポーズが秀逸です。嘘をつくことに慣れていない子供みたいでかわいいですねw

 それと「一連の謎を紐解いてみたいと思ってる」のシーンの時にも、

 パトロクスの話題が出た途端、スッと視線を外してたり。後から見返すとわかるような、こういう丁寧な描写はすごいですね。

 視線といえば、アニマ捕獲後のシーンにおいても、ノアとヤマトはアニマの方を警戒して睨んでるんですがアオバだけはちょっと視線がズレていて、何を見ているのかと思ったらデイター司令だという。いやキャラの視線は若干ズレてることがたまにあるので自分の考えすぎかもしれませんがw

 

 あとゲームシステム上の表現にも作中設定がなされているのは驚きました。画面上に選択肢が出てくるのはリブラの機能だし、メニュー画面はスフィアという。格ゲーでありながらリアリティの追及のために体力ゲージの概念を無くした『ブシドーブレード』という作品が昔ありましたが、それとは真逆の発想で、ゲームのUIをプレイヤーだけが見ているものではなく作品世界の中で主人公が見ているものとして設定づけたのはかなり面白かったです。アリアドネにだけノイズが走っているのもいい感じ。

 あとモブキャラの表現に笑いつつ感心しました。同時に2画面を出力しなくてはいけないVRゲームにおいて、細かいグラフィックの群衆を描くのは至難の業だったろうと思いますが(実際に序盤や漂白のシーンで見られる群衆のモデルは結構荒い)、それを「主人公がグライアイのレイヤーレベルを下げている」という設定を採用することで記号化し、逆に不自然さを消すと同時に主人公のキャラクター性も見えてくる、というアイデアがすごい。いや経緯はわかりませんが多分そんな感じなんじゃないだろうかと勝手に推測します。問題点に対してのスマートな回答でありつつ強引さも感じてちょっと楽しくなってしまうようなこの感じ、タカラトミーがトランスフォーマー玩具でたまにやる解決策とよく似ていて、自分は大好きです。あとこれは名言されてましたが酔いを発生させないためにはどうすればいいかということで地上を荒廃した広い大地にしたり、スタッフロールで座標軸のようなラインを置いて文字の動きの誤認からの酔いを防止(?)させていたり、そういう工夫が随所に施されてるのも好きなところです。ユーザー目線に立った、職人の心意気のようなものを感じます。

 

 本当に思いつくままバーッと書きましたがこんな感じでした。

 チャートの星をもっと細かく分けてほしいとかバッドエンドが本当にただのバッドエンドすぎやしないかとかの不満点もありましたが、それ以上に好きになった作品ですね。全ルート好きだし全キャラ好きです。

 何かの作品に触れて感動し、その作品の物語やキャラについて熱く語り、細かい部分も早口でしゃべりたくなる……そういう気持ちになったのは久しぶりでした。まだ俺の中にこんなに若々しいオタクがいたんだ!と嬉しくなりましたねw サントラやパンフレットやアクリルキーホルダーも買っちゃいました。サントラのこともまだ喋りたいですね……

 

 あとは作品内でのことじゃないんですが、プレミアムトークショーが終わって、新作(ディスクロニア)の発表があって、別にそんなことはないんですがなんとなくアルトデウスが終わってしまったような感覚があってちょっと寂しく思っていたところに例のアジト(公式のツイッターや公式サイトから飛べます)のことを知って、新たな公式イラストや×××××などが出ていたりしてすごく嬉しく思いました。ゲッテンカ終了後に足軽くんブログの更新があった時にも近い感動。アジト自体は制作側と距離が近すぎて自分はビビっちゃってあんまり積極的には参加できてませんが(ツイッターでの投稿もできないタイプなので絵とかはpixivに上げてます)、ROMって見てますし、とにかくアルトデウスの動きがあったのが嬉しかったです。そのおかげで新作のディスクロニアも純粋に楽しみになりましたね。三つ目の謎から先がぜんぜんわかりませんがw 

まあその前に東京クロノスやりたいですし、その前にアルトデウスを楽しみつくしたいし、いやあ元はエロ動画観たいがために買ったVRでここまで熱中できる作品に出会うとは人生わかんないもんですね。

 

 では!