こんにちは。スーパーマンです。今日は僕の大好きな作家、森博嗣さんのS&Mシリーズを紹介していこうと思います。全て一気に紹介すると少し長いので、今回は前編として第一作すべてがFになるから第五作封印再度までを紹介します。


森博嗣文学の特徴は王道の理系ミステリーであること、密室、そして犯人の動機の特殊性、背景にある哲学的なテーマ、大きく分けてこの4つにあると僕は考えます。

主人公の一人、犀川創平は助教授ですが、森博嗣さんも大学の助教授だった過去(現在も助教授であるかは不明)があり、専門性が高く、リアリティのある作品達となっています。

ただ紹介しても面白くないので、3つのポイントに絞って解説していきます。


まず、動機の特殊さ。


そして、展開の面白さ。


最後に、トリックの高度さ。


これら3つのポイントを抑えつつ語っていきます。それでは始めましょう。


①すべてがFになる

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士•真賀田四季。彼女の部屋からウエディング•ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授•犀川創平と学生•西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。ミステリィの世界を変えた記念碑的作品。

🤩レビュー🤩


動機の特殊さ

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️


展開の面白さ

⭐️⭐️⭐️⭐️★


トリックの高度さ

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️


森博嗣さんが有名になるきっかけといっても過言ではない言わずと知れた代表作です。第一回メフィスト賞を受賞しています。シリーズ第1作なので、シリーズ全作読むのはしんどいけど気になるという方にはこの一冊だけでも読むことをおすすめします。特に文学は苦手だったけど数学や科学が得意という方にオススメの小説です。


②冷たい密室と博士たち

同僚の誘いで低音実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?明かされる驚愕の真相そしてトリック。ますます研ぎ澄まされるシリーズ第2弾。

🤩レビュー🤩


動機の特殊さ

⭐️★★★★


展開の面白さ

⭐️⭐️★★★


トリックの高度さ

⭐️⭐️⭐️⭐️★


この作品はすべてがFになるに比べると面白さはさておき、理解しやすい作品になっていると思います。特に犯人の動機が特殊になりがちな森博嗣文学においては動機がはっきりしています。すべてがFになるのように難しい知識もあまりいりません。ある意味、森博嗣文学の異端児と言えるでしょう。この作品が合わなければあえて飛ばして読むのもアリだと僕は思います。


③笑わない数学者

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティーの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れたとき、2つの死体が発見され……。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。
🤩レビュー🤩

動機の特殊さ
⭐️⭐️⭐️★★

展開の面白さ
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

トリックの高度さ
⭐️⭐️⭐️★★

トリックは案外簡単という声も大きい本作ですが、個人的にはS&Mシリーズの中で一番好きかもしれません。その魅力は森博嗣文学の特徴でもある哲学的な問いをより多く読者に投げかけてくれることと、天王寺翔蔵という人間のミステリアスな個性にあります。謎が謎を呼ぶ考察しがいがある作品です。この作品では最終的な犯人が誰で、どんな動機なのか、いまいちはっきり書かれていないので、動機の特殊さは星3つ。



④詩的私的ジャック

大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が酷似していた。その曲のタイトルは『Jack the Poetical Private』。犀川助教授と西之園萌絵が連続殺人事件の構造を解体する。
🤩レビュー🤩

動機の特殊さ
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

展開の面白さ
⭐️★★★★

トリックの高度さ
⭐️⭐️★★★

正直に言うと自分は一度この詩的私的ジャックで挫折しました。どうにもテンポが悪く感じてしまって、飽きてしまいました。ですが数年経ってオメガ城の惨劇が発売され、読みたいと思い、ならばまた詩的私的ジャックから読み直そうと思い至り、読破することができました。この本は理系ミステリーというより文学的な要素が多い作品と言えます。ただ死体につけられた文字状の傷の謎はどこか理系らしいというか、そんな印象を受けました。この作品の動機の特殊さについてはえ、そんなことで殺すの?と困惑してしまう人もいるのでは、というくらい特異的で理解に苦しむ方もいるかもしれません。この作品も合わなければあえて飛ばして読んでも問題はないと僕は思います。



⑤封印再度

50年前、日本画家•香山風采は息子•林水に家宝「天地の瓢」と「無我の匣」を遺して密室の中で謎の死をとげた。不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在にいたるまで誰にも解かれていない。そして今度は、林水が死体となって発見された。二つの死と家宝の謎に人気の犀川•西之園コンビが迫る。
🤩レビュー🤩

動機の特殊さ
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

展開の面白さ
⭐️⭐️⭐️⭐️★

トリックの高度さ
⭐️⭐️⭐️⭐️★

この作品は理系ミステリーでありながら少し和風なテイストを含んでいます。最初読む前は科学的な要素は感じることはできませんが、読み終えるとあぁ、やはり森博嗣文学だと安心できるはずです。そしてこの作品はこのS&Mシリーズの二人の主人公達の関係が大きく動く物語になっているので、この封印再度は飛ばさずに読むことをオススメします。幸い内容も得点で示したように面白いと感じてもらえると思います。ちなみにこの作品の英題はWHO INSIDE。


まとめ

いかがだったでしょうか?

森博嗣文学が大好きという方にとって、そうでない方にとっても少しでも参考になったら幸いです。ちなみに僕は本を読むのが昔から好きですが、ゴリゴリの理系です。僕は文系だから本を読むとか、理系だから本を読まないとか、そういう偏見をする時代はもう終わっていると思っています。大事なのは自分が本を読んで楽しいと思えるかどうか、それが全てだと思います。素敵な読書ライフをお過ごしください。後編に続く!