毎年この時期はついテレビの前にクギづけになります。
いやぁ、やっぱり面白い。


無心に白球を追いかける球児たちの姿は、月並みですがやはり見ていて感動します!

野球をやっている日本中の少年たちの夢である甲子園球場。ここに出てくるために猛練習を重ね、ライバルたちを倒し続けやっと手にした出場権。
そして負ければ終わりの、後のない闘いが続く。
ひとつ一つのプレーが明暗を分けることにつながる緊張感。
前評判の高いチームが必ずしも順当に勝ち進むとは限らないところにも、甲子園での高校野球ならではのドラマがあります。
汗と涙とさわやかさ、清々しさ…。
私たちはそういったイメージを高校野球に重ねて見るのでしょう。
もしかしたら私たち日本人の、野球というものに対する集合的かつ原型的なイメージが、甲子園の高校野球に投影されているのかも知れません。
勝敗だけでなく、野球というスポーツを通じて学ぶ礼節、公明正大な精神と忍耐、そして人間力。
私も高校野球(アマチュア野球)の一ファンとしてそのような「理想」を甲子園球児に重ねて見ていることは確かです。
また甲子園の高校野球には、もう一つの魅力もあります。
私たちの郷土意識が高校野球によって刺激されるということ。
夏の甲子園大会は全国全ての地域から代表校が集められます。
その意味で高校野球は、地域別対抗戦でありこれを勝ち抜くことは地域の優劣を競うことであり、従って優勝は全国制覇

全国制覇ってすごい言葉だと思いません?
やや物騒な例え方をするなら、戦国の世の天下統一を目指す国盗り物語のような壮快感にも匹敵するかも知れません。
郷土ナショナリズムを刺激する所以です。
野球にあまり関心のない人でも、自分の故郷の代表校の勝敗はやはり気になるのではないでしょうか。
ともかく私が甲子園での高校野球を楽しむ理由は、負ければ終わりのトーナメント特有のドラマ性、野球を通じて成長していくであろう人間力という理想イメージ。そして郷土意識をゆさぶられること。
これらが渾然一体となって独特の魅力を放っているのが、夏の甲子園大会ではないかということです。
こうしてブログを書く手を休めて(笑)、夢中で高校野球を観戦している私ですが、実は最近まったく別の角度から「あること」に気づきました。
それは球児たちのその後の進路についてです。
甲子園に出場した選手たちは、ほんの一部の天才的選手(プロに行く人)以外は大半が大学か社会人の名門野球部に進み野球を続けます。
私は大学野球も好きで、実際に球場でよく観戦しますが甲子園出場組が必ずしも順調に活躍し続けるわけではありません。
大学などの名門野球部には全国から野球の上手な者が集まるわけだから当然といえば当然なのですが、たとえば甲子園での優勝チームの選手や投手であっても意外に活躍しないのです。
活躍しないどころか、レギュラーにさえなれない選手も大勢います。
また運よくレギュラーになれても甲子園での活躍からすれば、ずいぶん期待はずれな働きしかできないのです。
むろん、期待にたがわずちゃんと活躍する選手もいますが、おそらく世間の人が想像するほど甲子園球児の「野球における未来」は明るくない。
逆に大学、社会人で伸びる選手には甲子園組が意外に少ない!

これが私の印象です。
教育者という観点で見たとき、このことはとても興味深い事実です。
つまりこういうことです。
甲子園に出場した選手たちは、その時がピークだったのではということです。
あるいは甲子園に出たことで、ある種の達成感を得てしまい、モチベーションが上がらないのではないか。
大学野球、社会人野球、プロ野球で活躍する選手が良く言う言葉があります。
それは…
甲子園に出た奴らには絶対負けたくない

というものです。
彼らは「甲子園に出られなかったこと」で発奮し、周囲の甲子園組をライバル視することで、今の地位を手に入れたのです。
一方、甲子園組は「甲子園球児」という輝かしい頂点に一度立ってしまったが故に、もっと上を目指して頑張るというモチベーションを維持することができなかった。
そういう意味では、私が前回書いたブログ(=ココ)
「ほめることで失敗を恐れる人間になる」という実験と
通じるものがあるかも知れません。
しかし、ここで私が言いたいことはむしろ次のことです。
「人間には成長する時期があり、それは人によって違う」という事実です。
勉強などの学習活動や、リーダーシップや創造力など人間の様々な能力も、それがいつ開花するかは人によって様々です。
小学生で伸びる子。中学生でグーンと伸びる子。高校大学で伸びる人。
社会に出てから思わぬ能力を伸ばす人もいます。
中学受験などで人工的に知識をつめこみ、小学生でピークを迎えその後はあまり伸びない子もいます。
中学校までは良くできたのにその後は伸び悩む子もいます。
いずれにせよ、球児と同様あまり早期から実践的技術を型通りにつめこまれ、促成栽培されてしまった子どもたちは、努力し続けるモチベーションを奪われ、困難にチャレンジする意欲を失いがちです。
ところで個人的には私は無名ながら努力を重ね、社会人になってから活躍する野球選手が好きです。
高校大学と今イチ活躍できず、それでもあきらめず野球を続け、社会人野球で才能が開花する。
彼らはプロ野球でも地味ながら息の長い選手として活躍し続けることが多いようです。
私は、自分が教える生徒たちにもそのような人になってもらいたいと思っています。
地道に努力しながら自分を信じ、失敗を恐れない。そして年齢と共に成長し続ける。そんな人になって欲しいのです。
高校球児たちの、無心に白球を追う姿を見ながらそんなことをつい考えてしまいました。
できることなら、甲子園球児の皆さんも「出場したこと」を人生のピークにすることなく、さらなる自らの高みを目指して輝き続けて欲しいと思います。
■□■□■□■□■□ イベント情報 ■□■□■□■□■□
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場所:ザ・クレストホテル柏 クレストルーム
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http://arcs-edu.com/event.html

