不得意があって何が悪い! [金曜日担当:管野] | 教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

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教育現場のプロ3人衆による本音トーク

人間である以上どうしても得手不得手というものがあります。
人よりうまくできるものもあれば人並み以下のものもある。

私などは得意なものより不得意なものの方が断然多い!

まず子どもの頃から足が遅い。100メートル競走ではいつも大体ビリから2~3番目でした。

走るだけでなく運動自体が苦手なのですね。

だから球技の時以外、体育の授業は苦痛でした。

あと、手先が恐ろしく不器用なので、工作や大工仕事なども苦手。クギを真っすぐ打てる人が神様に見えるほど(笑)です。

当然日曜大工などもっての外。電球の交換さえロクにできない。

まだまだありますが、私の話はこの辺でやめておきましょう(笑)。

先ほど、誰にでも得手不得手はあると言いましたが、こうしてみると人は得意なものより不得意なものの方が多いかも知れません。

誰でもが認めるほど優れた技量を持つ人は少なく、大体がソコソコ何とか恥ずかしくない程度に出来て、その中で少しでも得意なモノがあれば御の字ではないでしょうか。

それに得意不得意は長所短所と同じく、コインの裏表の関係にも似ています。

たとえば、人前で話すのは苦手だが一人黙々と機械を操作したり、コンピューター相手に作業するのは得意だったり。

この場合人とのコミュニケーション能力より、モノとの対話力が優れているとも言えるわけです。

そしてこれらはその人の個性であって、良い悪いという問題ではありません。

人には得意な分野と不得意な分野があり、たまたま得意な分野で秀でていれば、その道のプロと呼ばれたりすることもある。

個性であって良し悪しの問題ではないということです。


同じことが子どもたちの勉強にも言えます。

どの子にも程度の差はあれ得意不得意があり、それはその子の個性であって良し悪しの問題ではない!



ところが、これがナゼか「勉強」になるとたちまち「良し悪しの問題」になってしまう


子どもたちの親御さんと話すと「ウチの子、○○が不得意で…」という言葉がよく出ます。

私が「でも他の教科はマアマア良いから…」と説得しても、不得意教科をどうにかしてくれと不満そうに言います。

私たちは皆学生時代、不得意を改善するよう叱られて育った歴史があります。
不得意科目があるということ自体が既に罪なのです!!

私が「これからの時代は万遍なくマアマアできるより、得意なものを思い切り伸ばした方が色々な意味で良いですよと視点を変える方向に話を振っても中々分かってもらえません。

恐らく、どの教科も平均してないと内申点に響くとか入試で不利になると思い込んでいるのでしょう。

確かに総合点で決まる以上、内申書や入試で高得点をとるに越したことはありません。

しかし、不得意教科で点数が悪い分、得意なものでその分補えば同じことで、どの教科も平均していなくてはいけないという決まりはないのです。


要するに、デコボコのないキレイな得点が望ましいという根拠のない平均主義なのです。

それと、プラスを評価するよりマイナスを矯正しようとする日本人特有の減点主義もあるのでしょう。



ここで声を大にして言いたいことは

平均主義と減点主義に根ざした横並びの思想(どれもマアマア成績が良い)はこれからの社会では通用しない

ということです。

これは考えてみればすぐ分かることです。

どれも平均して出来るということはどれも突出していないということです。
つまり得意なものがない!


得意な分野がないということは、深く掘り下げた知識や技能を発揮する分野を持っていないということです。

ということは好きなモノ、打ち込めるモノを持っていないのかも知れない。

大学にしろ、企業にしろ今いちばん欲しがらない人材がこういうタイプなのです。

得意分野―つまり深い背景知識や興味関心に基づく豊かな発想を持てる領域―を自分の個性として輝かせる者が今求められているのです。

平均的な成績の人が悪いと言っているのじゃありません。それも個性です。

しかし平均的(に良い)成績の方が望ましいという発想はあまりに時代遅れだと思います。

もし得意教科がないとか、良く分からないという人は「何が好きか」「何に興味があるか」というシンプルな観点から入って下さい。

好きこそものの上手なれは現代でも立派に通用する格言です。

得意な分野をつくるということは、その分野を深く掘り下げることですが、深く掘り下げると結局それは全体に通じる近道になります。

たとえば自国語である日本語をしっかり理解していなければ外国語にも強くなれない。
日本文化に精通していなければ外国文化の神髄にも触れることはできない。

それと一緒です。

まず足元を固めること。これだけは負けないという、自分にとっての得意分野(フィールド)を持つことは自信につながり、そこから世界を広げていくことが出来る。

なぜなら、どんな分野も根源の部分ではつながっているからです。



お父さんお母さんへひと言。

子どもの不得意を嘆くのはやめましょう。
不得意があるということはその裏側に必ず得意が隠れています

マイナスをゼロにするのではなく、プラスのものをさらなるプラスへ伸ばすことにエネルギーを注ぐようお子さんを励まして下さい



■□■□■□■□■□ イベント情報 ■□■□■□■□■□

『今の子どもたちにはこんな父親が必要だ!』

2012年に開催し大好評だった「平成父親塾」。
今回はさらにパワーアップして第2弾をお送りします!

講 師:管野淳一(教育研究所ARCS所長)
ゲスト:鈴木久夫(塾クセジュ代表)

日時:2014年7月5日(土)19:00~21:00(開場18:30)
場所:アミュゼ柏・クリスタルホール(千葉県柏市柏6丁目2番22号)

イベント申込み締切日:2014年7月4日
http://arcs-edu.com/event.html





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