「どうして勉強しなくちゃいけないの?」親はこの問いにどう答えるか ① [金曜日担当:管野] | 教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

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教育現場のプロ3人衆による本音トーク

「ねえ、どうして勉強しなくちゃいけないの?ボクもっと遊んでいたいのに…」


だいぶ昔の話になりますが、私の息子が小学生の頃こんな疑問をぶつけてきました。


確かゲームか何かに夢中になっている息子に母親が「勉強する時間でしょ」と促したときでした。


不服そうに抗議していたのを覚えています。



きっと子を持つ親なら誰でも一度や二度、こんな経験があると思います。


塾の先生を長くやっているなら、そんな子どもの問いかけにもスラスラとうまく答えることができると思うかも知れませんね。


いえいえ、決してそんなことはありません。


やはり困惑します(汗)。



多くの親はこういうとき、「勉強しないと将来困るから」あるいは「しっかりやらないと高校や大学に行けないし、そうなるとちゃんとした会社に勤められないから」と、将来の不安を持ち出して「今の努力」を強調しがちです。



私もウッカリするとこのような言い回しになってしまいます。

私たちも親から同じようなことを言われて育ったからです。



しかし、このように「今努力しないと将来困るから」という言い方には実は大きな危険が潜んでいるのです。


少なくとも勉強の動機づけとしては得策ではありません


「今努力しないと将来困る」は一種の脅しであり、勉強しない奴はそのうちヒドい目に合うぞという恐怖による動機づけだからです。


もちろん親にそんなつもりは毛頭ないのは分かっています。


それでも脅しであることには変わりありません。


さらに「将来のために」という言葉は、今の楽しみをガマンしなくてはいけない。つまり、今この瞬間を犠牲にして将来の豊かさを目指すという意味合いになります。


それのどこがイケナイの?

目の前の楽しみばかり追っていたら(勉強さぼっていたら)後で困るんじゃないの?


そう感じる人も多いと思います。


でも良く考えてみて下さい。

このような動機づけで勉強させられてきて果たして勉強を楽しいものと思えるでしょうか


そう。第一に勉強とは嫌々やらなくてはいけないつまらない行為というイメージが、しっかりと頭にインプットされる。


第二に将来のためという、まずはテストや入試、良い就職先など計算ずくの功利主義を優先して今を犠牲にすることで、子どもたちから純粋な勉強意欲を奪っている


第三、常に「将来」を優先することで、いつまで経っても今勉強を楽しむことができない「今の充実」を取り逃し続ける人生になりかねない




そして勉強の面白さや楽しさが実感されないと本当の実力はつかない


このように外的な動機づけ、つまり脅しによる強制は親の意に反して

かえって子どもを、勉強から遠ざける結果になっているのです。



ではどうすれば良いのでしょうか。


一つのヒントは、外的動機付けの反対つまり内的動機付けです。


私の個人的体験や、30年以上に渡る講師経験からもまた様々な心理学上の実験からも、賞罰による外的動機づけより、勉強それ自体に興味関心をもたらす内的動機づけの方が長期的な学力向上には有効であることが確かめられています。


では、内的動機づけとはどういうものなのか

それについては次回お話したいと思います。


■□■□■□■□■□ イベント情報 ■□■□■□■□■□

『今の子どもたちにはこんな父親が必要だ!』

2012年に開催し大好評だった「平成父親塾」。
今回はさらにパワーアップして第2弾をお送りします!

講 師:管野淳一(教育研究所ARCS所長)
ゲスト:鈴木久夫(塾クセジュ代表)

日時:2014年7月5日(土)19:00~21:00(開場18:30)
場所:アミュゼ柏・クリスタルホール(千葉県柏市柏6丁目2番22号)

イベント申込み締切日:2014年7月4日
http://arcs-edu.com/event.html





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