前々回、前回とこのブログで新旧2つの世代の「若者の恋愛」について話しました。
今回は一転少し固いお話になります。
まず次の話から
一人の人間の中には2つの性がある!
これは言いかえると、一個の人間の中には誰でも「女性性」と「男性性」の両面があるということです。
生物としても男性の中にも女性ホルモンがあり、女性の中にも男性ホルモンがあるように男も女も自分の中に「異性」的な機能が備わっているということです。
男性ホルモンだけでは身体的にも十分ではないように女性ホルモンだけでも身体は健全に機能しない。
心にも同様のことが言えるのです。
父性と母性のバランス。男性的視点と女性的視点のバランス。
これらの両性的機能が調和して始めて人としての生き方も健全になる。
フロイトと並んで精神分析界に偉大な足跡を残したユングは、男性の心にある理想の女性像をアニマ、女性の中に存在する男性像をアニムスと名づけ、各々の中にある「異性性」に注目しました。
ユングはこの異性的イメージを、誰でもが生まれつき備えているものとして「原型(アーキタイプ)」と呼んでいます。
〔注:原型はアニマ、アニムスだけでなく、他にシャドー(影)、グレートマザー、オールドワイズマンなど興味深いものがある〕
さて、ここからは私の個人的意見です。
興味のない方はスルーしてください。
一つお聞きします。
このブログを読んでいるあなたが男性だとして、あなたは自分の中の「女性」と会話していますか?
マア、あまりしてないでしょうね(笑)。
もしあなたが自分の奥さんなり恋人なり、会社の同僚、部下でも女性とうまくいってないと思うなら、自分の中の「女性」に語りかけることをおススメいたします。
イメージできませんか?
男は普段から自分の中の同性、すなわち男性性と強く一体化しているため、内なる異性=女性をうまく呼び出せないかも知れません。
そこで再びユングです。アニマの登場です!
ふり返ってみて下さい。
あなたが好きになった女性には共通した性質があるはずです。いわゆる「タイプ」ですね。
そのタイプ(共通項)を抽出してみて下さい。
そうして一個の「理想の女性像」が浮かび上がってきたら、それがアニマです。
名前をつけても良いかも知れません。
ドラミちゃんとか(笑)、ウランちゃんでも何でも良いです。
こうして自分の中に「異性」を見出したら、「彼女」の立場になって同性(自分)に話しかけたり愛を送ったりします。異性として色々言いたいことがあるはずなので耳を傾けて下さい。
きっと色々言うと思います(笑)。
ただし会話は人のいる所ではやらないほうが良いでしょう。確実にヘンな人です(笑)。
ちなみに私がやったら大変なことになりました。私の中の「女性」は私を猛烈に批判し始めたからです。
同時に私の(男としての)魅力(!?)についても語ってくれました。さらに……
いや、これ以上書くと私が単に「危ない人」であるかのような印象を読者に与えるのでやめておきます。
一つだけ言えるのは、自らの「女性性」を少し意識するだけで、つまり異性の視点を取り込むことで視野が拡大し、ものごとが包括的にとらえられるようになったということです。
女性の方も同様にしてみると良いでしょう。
女の方が男ほど「性役割」に縛りつけられていない分、内なる男性を意識することは容易かも知れません。
私たちは日頃、無意識に自分に与えられた役割を演じています。
たとえば家では妻として母として、実家では娘、姉であり外では会社員としてなど…。
その役割の最たるものは「男として」「女として」の自分です。
それは「男とはこうあるべき」「女とはかくあるべき」という社会的要請に大きく影響されているものです。
私たちは自分でも意識しないまま、家庭や学校教育を通じて、さらに世間の「常識」という、幾層にも渡る圧力(プレッシャー)のもとで「正しい」男性像女性像の仮面を被せられているのです。
多くの男性はそういった社会的要請に応じた「男性像」と同一化し、内なる女性像を抑圧しています。
女性も同じです。
しかし多くの人が自らの「異性性」に気づき、もっと意識してその部分を育てることができたなら、様々な偏見やとらわれから解放され、より柔軟な視点を得ることができ、相手の立場に立ってモノを見たり考えたりすることが可能になると思います。
「近頃の若者」が昔ほど固定した「男女の役割」にこだわらなくなりつつあるのは、以前まで機能していた社会的要請の圧力が弱まっているからですが、それだけでなく「内なる異性性」を排除しなくなったからだと私には思えます。
今の若者が社会の大半を占める時代は「優しさ」「共感」「平和」が当り前の時代になるかも知れません。
ユングは、抑圧して来た「内なる自分(シャドー)」に光をあて、それと統合することが真に成熟した人間(個性化)だと言いました。
同じように、今まで抑圧してきた「内なる異性性」に光をあて、自らの人格の中に統合した時始めて真に成熟した人間―男であり女であると同時に、そういう属性を超えて人間として真に魅力ある大人―が登場するでしょう。
私は「近頃の若者」を見て、秘かにそういう時代が来ることを期待しています。
次回はそのことを歴史という「時間軸」から見てみようと思います。
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