はい、前回の続きです。まあ多くの方が体重計の目盛は「増えて90kgになる」もしくは「減って50kgになる」のいずれかを予想したのではないでしょうか。
正解は「減って50kgになる」でした。力学を勉強すると、力の矢印を描きこんで、力のつり合いを考えて…という感じで理屈から考えるわけですが、もう少し感覚的な部分で理解してもよいのでは?というのが私の考えです。
荷物の重さをとてつもなく重たくすると想像しやすいのですが、その状態でひもを引くということは…要するにこれって、「体重計に乗りながら、鉄棒の懸垂をする」ということになんですよね。だから体重計にかかる重さは当然減ってしまうということです。
女性の皆様は、風呂上りに乗った体重計の針が思いの外右に振り切れてしまって、ひそかに洗面台に手をついて針を左に戻すという気休めをした経験がありませんか?
物理学は、こういう日常の経験から学ぶことが多いような気がしますが、もう一つ、机上の勉強よりも日常の経験がものを言うであろうと私が考えるジャンルがあります。それは「立体感覚」です。
数学の中でもひときわ嫌われる単元である立体─私も何度も生徒から「空間図形?無理です!」と言われたものです。
私事ですが、私は空間図形が昔から得意(好き)でした。実はそれには明確な要因がありました。子どもの頃に通っていた幼稚園が少し変わった教育をやっていたのです。いろいろな試みをしていましたが、私が特に印象的だったのは次のようなものでした。
立体(円柱や三角錐など)の模型を籠の中に入れて上から布をかぶせ、中に手を入れて手触りだけでその立体の名前を当てる。
こんな取り組みを幼い頃からやればそりゃあ感覚も身に付くなと自分でも思うわけですが、普段生活していて、そんな立体感覚を磨くようなきっかけがあるかと言われれば、なかなかありません。あるとしたら昔流行ったルービックキューブやスネークキューブなどぐらいでしょうか。
※立体パズルゲームのルービックキューブ(左)とスネークキューブ(右)。ちなみにルービックキューブは、今ではもっと複雑なバージョンが複数あり。
そこで私がふと思いついてやってみたことがあります。これは立体感覚、力学的感覚、の両方が試されますが、リスクも伴います。だから万人にオススメはできませんが…。
では、続きはまた来週。