「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」
のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう
本日は10月16日
理念と経営2026年10月号より

しんどい時こそ笑う門には福来る!
私に投資してください――。社員の前で土下座した兄に、返ってきたのは罵声だった。 商家の五代目を継ぐために戻ったが、会社は火の車。苦境に立たされた兄を真っ先に 支え、勇気づけてきたのは弟だった。
P46抜粋
正しいことを選ぶのは、案外難しい。
――損得だけでは決められないことがある
仕事をしていると、損か得かで判断しなければならない場面が数多くあります。
私自身、不動産の売却や契約交渉では、条件や金額を比較し、できるだけ合理的な判断を心がけています。
しかし、それだけで本当によい判断ができるのだろうか。
そんなことを考えさせられたのが、愛媛県松山市で長く商いを続ける世良の兄弟経営の記事でした。
五代目として会社に戻った兄の洋介さんを待っていたのは、債務超過に陥った厳しい経営状況でした。
給与や賞与を削減せざるを得ず、社員からは厳しい言葉を浴びせられたそうです。
それでも経営を学び直し、少しずつ会社を立て直していきました。
印象に残ったのは、会社の創業時から受け継がれてきた考え方です。
「損か得かではなく、何が正しいか」
創業者は、本家と同じ商売をすれば顧客を奪うことになると考え、経験のない別の商売を始めました。
また、洋介さんは隣家とのトラブルで、自社だけに責任があるわけではないと分かっても、相手への補償を申し出たといいます。
もちろん、正しいと思うことが常に同じ結論になるわけではありません。
相手への配慮も必要ですが、会社や社員の生活を守る責任もあります。
だからこそ、正しさを一人で決めつけないことが大切なのかもしれません。
世良では、兄が経営方針を描き、弟が実行を担っています。
兄は正しさへのこだわりが強く、弟は時に「それはやり過ぎだ」と引き戻す。
同じ考え方の二人ではなく、違いがあるからこそ判断の偏りを抑えられるのでしょう。
私も家族と仕事をする中で、身近な人ほど考え方の違いが気になることがあります。
しかし、違う意見を持つ人がいることは、必ずしも障害ではありません。
自分では気づかない行き過ぎや思い込みを、指摘してくれる存在でもあります。
もう一つ、心に残った言葉があります。
経営が最も苦しかった時、弟が兄にかけた言葉です。
「兄貴、あとは上しかないで」
問題が解決したわけでも、資金が増えたわけでもありません。
それでも、一緒に頑張ろうと言ってくれる人がいるだけで、前に進む力になる。
仕事でも人生でも、最後に支えになるのは、数字や理屈だけではないのだと思います。
私もこれから、損得を考えることは続けます。
ただ、その前に一度立ち止まって、考えたいことがあります。
「自分にとって得か」だけでなく、「関わる人にとって納得できる判断か」。
その積み重ねが、長く続く信頼につながるのではないでしょうか。
今回のキーワード
損得と正しさ:目先の利益だけでなく、長期的な信頼や責任を考える。
相互補完:考え方の違う人が、互いの判断の偏りを補う。
学び直し:経験や立場に甘えず、知らないことを学び続ける。
自社の哲学と照らして
今回、特に重なるのは「正しい評価」と「多様性」です。
正しい評価とは、数字だけでなく、判断の理由や周囲への影響も見ること。
多様性とは、違う意見を認めるだけでなく、自分の判断を修正する力として生かすことです。
そして「当事者意識」とは、問題を誰かの責任にせず、自分に何ができるかを考える姿勢でもあると思います。