「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」
のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう
本日10月15日
理念と経営2026年10月号より

三事業一体が生み出す独自の競争力
ニッチトップの技術を研ぎ澄ませ、唯一無二の競争力を築いてきた四国化工機。「一人のヒーローよりもチームの力」「規模よりも付加価値」を重んじる植田滋社長に、三事業一体の経営に込めた思いを聞いた。
P36抜粋
自分の判断が、可能性をつぶしていないだろうか
――四国化工機に学ぶ、挑戦を生み出す組織
経営者として経験を重ねるほど、物事の良し悪しを早く判断できるようになります。
しかし、その経験が新しい可能性を狭めていることもあるのではないでしょうか。
食品充填機や豆腐の製造で知られる四国化工機の記事を読み、そんなことを考えました。
同社では、ある社員が100円ショップで見つけた波形に切る道具から、豆腐の表面を波形にするアイデアを思いつきました。
社長は当初、売れないと判断したそうです。
ところが社員は諦めず、表面積が広がって味が絡みやすくなることを何度も説明しました。
最終的に商品化され、大きなヒットにつながったといいます。
ここで興味深いのは、社員の発想だけではありません。
社長が、自分の判断を変えたことです。
私自身も、不動産の仕事や伊勢型紙の商品企画を考える中で、経験から「これは難しい」「売れないだろう」と判断することがあります。
実際、経験が役に立つ場面は少なくありません。
しかし、まだ試していないものまで、過去の経験だけで否定していないだろうか。
そんな疑問が浮かびました。
一方、四国化工機にはもう一つ興味深い特徴があります。
機械、包装資材、食品という三つの事業を組み合わせていることです。
機械を販売するだけでなく、自分たちでも食品をつくる。だからこそ、使う側の困りごとが分かり、次の技術開発につながる。
これは単なる事業の多角化ではなく、一つの経験が別の事業の価値を高める仕組みです。
私も賃貸管理、不動産、伊勢型紙、将来の宿泊事業など、いくつかの活動を考えています。
これまでは、それぞれをどう成功させるかという視点が中心でした。
しかし、これからは「異なる活動から得た経験を、どう結びつけるか」という視点も必要なのかもしれません。
ただし、何でも始めればよいわけではありません。小さな会社ほど、人も資金も時間も限られています。
だからこそ、まず試してみる。そして、結果を見て続けるかどうかを決める。
何より大切なのは、自分の最初の判断を、いつでも変えられることだと思います。
経験を積むことは大切です。
でも、経験が増えるほど、新しい考えを受け入れる余地も意識して残しておきたいものです。
今回のキーワード
相乗効果:異なる経験や事業を組み合わせ、一つでは生まれない価値をつくる。
現場起点:机上の予測だけでなく、実際に使う人や働く人の気づきを大切にする。
仮説検証:売れるかどうかを議論するだけでなく、小さく試して確かめる。
自社の哲学と照らして
今回、特に考えさせられたのは「正しい評価」と「多様性」です。
正しい評価とは、最初から正しい判断をすることだけではありません。新しい事実が分かった時、自分の判断を修正できることも含まれるはずです。
そして多様性とは、異なる意見を聞くだけでなく、その意見によって実際の行動を変えられることではないでしょうか。
イノベーションを生むには、経営者自身が変わることも必要なのだと思います。