「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」

のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう

 

 

本日は7月24日

理念と経営2026年7月号より
 

陸上競技100m

元日本代表
朝原宜治(あさはらのぶはる)

 

 TODAY'S
 
どん底があったからわかる「100m走は人間力

限界は誰が決めるのか、現役時代、10秒の壁と戦い続けた朝原さんは50歳を超えたいま、 「第二の全盛期」を迎えようとしている。挑むは11秒の壁。そして世界記録。 かつての重圧を手放し、純粋に走りを極めるレジェンドの心模様を見る

 

 

 

ポイント

1. 10秒の壁に挑み続けた先駆者

朝原宣治さんは、日本人で初めて100mを10秒1台で走り、自己ベスト10秒02まで記録を伸ばした。

2008年の北京五輪では、男子400mリレーのアンカーとして、日本男子トラック競技初のメダル獲得に貢献した。

9秒台には届かなかったものの、

朝原さんたちの世代が、後の日本人選手による9秒台への道を切り開いた。

結果だけでなく、限界に挑み続けた過程そのものに大きな意味がある。


2. 100m走は「現在の自分」を映す

朝原さんは、100m走の魅力を、

シンプルで、ごまかしが利かないこと

だと語る。

練習量、体調、精神状態、準備の質が、そのままタイムに表れる。

  • 言い訳ができない

  • 努力が数値で返ってくる

  • 自分の変化が分かる

  • 能力を探求できる

100m走は、単なる速さの競争ではなく、自分自身と向き合う競技でもある。


3. 怪我によって自分の価値を見失った

27歳の時、肉離れを起こしながら練習を続けた結果、左足首を骨折した。

走れなくなる可能性を前に、

陸上ができなくなれば、自分には何の価値もない

と感じるほどのどん底を経験した。

競技成績と自己価値が一体化していたため、走れない自分を受け入れられなかったのである。

しかし、治療とリハビリを通じて、

  • 嫉妬

  • プライド

  • 焦り

  • 他者との比較

を整理し、ゼロから再出発することができた。


4. 100m走は身体能力だけでなく「人間力」

怪我からの復帰を通じて、朝原さんは、

100m走は人間力である

と考えるようになった。

自分一人の力で強くなったのではなく、指導者、治療家、家族、仲間など、多くの人に支えられてきたからである。

必要なのは技術や体力だけではない。

  • 礼儀

  • 謙虚さ

  • 感謝

  • 思いやり

  • 人の話を聞く姿勢

こうした人間的な土台が、競技力にも影響する。


5. 子どもへの指導も人間力が中心

朝原さんが設立した「NOBY T&F CLUB」には、小学生からシニアまで幅広い世代が参加している。

クラブでは、子どもたちに四つの約束を伝えている。

  • あいさつをする

  • 靴をそろえる

  • コーチの話を聞く

  • 思いやりを持つ

速く走る前に、日常の小さな行動を整える。

競技を通じて人を育てることが、クラブの本当の目的になっている。


6. 50代で再び競技へ戻る

引退から10年後、世界マスターズ陸上のリレーメンバーに誘われたことが転機となった。

最初は、衰えた身体や周囲の期待が怖く、スパイクを履くことにも不安があった。

実際に本番までに三度の肉離れを経験したが、世界大会では金メダルを獲得した。

走ってみると、現役時代とは違う純粋な楽しさを感じた。

他人の期待や記録への重圧から離れ、再び走る喜びを取り戻した。


7. 50代で「第二の全盛期」

朝原さんは、50~54歳の部で100m10秒93の参考記録を出した。

世界記録10秒88に近づいたことで、現在は世界記録と世界大会優勝を目標にしている。

現役時代のように、毎日限界まで身体を追い込むのではない。

  • 週1、2回の練習

  • 山道を走る

  • 怪我を避ける

  • 本番に状態を合わせる

という方法で挑戦している。

年齢に応じて戦い方を変えることで、新しい全盛期をつくっている。


8. 大切なのはピーキングと逆算

朝原さんが競技人生から学んだのは、

目標の日に最高の状態をつくること

である。

そのためには、

  • ゴールを決める

  • 本番から逆算する

  • 今やるべきことを絞る

  • 焦って無理をしない

  • 着実に積み重ねる

必要がある。

努力量を増やすだけでなく、最も力を出す時期を見極めることが重要である。


9. 限界は年齢だけでは決まらない

クラブには、79歳で初めて陸上を始め、90歳になってもダッシュを続ける人がいる。

朝原さんは、その姿を高く評価している。

誰もが世界記録を目指す必要はない。

  • 健康を維持する

  • 仲間をつくる

  • 昨日の自分を超える

  • 新しいことを始める

という目標でも十分である。

限界は年齢ではなく、自分が挑戦をやめた時に決まる。


結論

朝原さんの競技人生が示すのは、

本当の成長とは、記録を伸ばすことだけでなく、失敗や衰えを受け入れながら、自分を更新し続けること

である。

どん底の怪我を経験したからこそ、他者への感謝や謙虚さを理解した。

引退したからこそ、純粋に走る楽しさを取り戻した。

年齢を重ねたからこそ、無理に追い込まず、目標へ正しく力を配分できるようになったのである。


水平思考

この事例は、人生や経営にも置き換えられる。

現役時代の自己ベストだけを基準にすれば、年齢とともに衰えていくように見える。

しかし、

  • 経験

  • 判断力

  • 人とのつながり

  • 自己理解

  • 力の使い方

を含めれば、年齢とともに高まる能力もある。

全盛期は若い時に一度だけ訪れるものではなく、評価軸を変えれば何度でもつくることができる。

 

朝原さんの人生には、

  • 限界と可能性

  • 怪我と成長

  • 引退と再挑戦

  • 衰えと全盛期

  • 個人競技と他者の支え

が同時に存在している。

怪我は競技人生を止めた一方で、人間として成長するきっかけにもなった。

引退は終わりである一方、新しい競技人生の始まりでもあった。

一つの出来事を失敗と見るか、次の段階への入口と見るかで、その後の未来は変わる。


自社への活用方法

活用キーワードは、

第二の全盛期・逆算・ピーキング・人間力・再挑戦・自己更新・役割転換・感謝・謙虚さ・世代共創

特に重要なのは、

  • 過去の成功だけで人を評価しない

  • 年齢に合った役割と挑戦をつくる

  • 目標から逆算して力を配分する

  • 失敗を自己否定につなげない

  • 人間力を成果の土台として見る

  • 第二、第三の全盛期を設計する

ことである。


自社の哲学と照らし合わせて

今回の内容は、自社が大切にする、

  • 当事者意識

  • 正しい評価

  • 多様性

  • イノベーション

  • シンプル

と深く重なる。

特に「正しい評価」とは、現在の記録や年齢だけで、その人の限界を決めないことだ。

過去の実績、現在の体力、経験、人間力、将来の可能性を組み合わせて考える必要がある。

また、

「選択肢を増やす人生」

という自社の哲学にもつながる。

引退後も、指導者、クラブ運営者、マスターズ選手という新しい選択肢をつくったことで、朝原さんの人生はさらに広がった。

さらに、

「世界に一つしかない組み合わせを育て続ける」

とは、若さだけではなく、経験、技術、人間力、地域、世代を組み合わせることでもある。

最後に一言でまとめるなら、

限界を決めるのは年齢ではなく、過去の自分に役割を固定し、新しい挑戦をやめてしまうことである。

 

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