「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」
のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう
本日7月18日
理念と経営2026年7月号より

「静かな退職」の正体
河合氏が健康社会学の視点から「働き損社会」の構造的問題を解説。「働く意味」と「会社で働く価値」を問い直します。初回はなぜ人は「頑張らなくなった」のかその背景を解きます。
P54抜粋
ポイント
1. 「静かな退職」は、退職ではなく働き方の防衛反応
「静かな退職」とは、会社を辞めることではない。
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必要最低限の業務は行う
-
過剰な努力はしない
-
昇進や評価を強く求めない
-
仕事以外の生活も守る
という働き方である。
仕事への責任を放棄しているのではなく、
仕事に人生のすべてを差し出さないという選択
である。
心身を守り、家庭や健康とのバランスを保つための「省エネモード」と捉えることができる。
2. Z世代だけの問題ではない
静かな退職は、若者特有の価値観として語られがちである。
しかし実際には、
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若手社員
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中堅社員
-
中高年社員
-
役職定年後の社員
-
再雇用社員
にも広がっている。
いわゆる「働かないおじさん」と呼ばれる人の中にも、長年働いた末に、会社への期待や意欲を失った人がいる。
静かな退職は世代問題ではなく、働き方全体のパラダイムシフトである。
3. 背景には「働いても報われない」という現実がある
日本で静かな退職が広がる最大の要因として、給与や報酬の低さが挙げられている。
働いても、
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給与が増えない
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生活が豊かにならない
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責任だけが増える
-
物価上昇に追いつかない
-
将来への安心が得られない
という状況が続けば、努力を抑えるのは自然な行動である。
日本の静かな退職は、
過剰労働文化からの解放というより、働き損社会への見切り
という側面が強い。
4. 賃上げの恩恵は均等ではない
社会全体で賃上げが進んでいるように見えても、その恩恵を受けている人は限定されている。
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大企業と中小企業
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正社員と非正規社員
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若手と中高年
-
成長産業と成熟産業
では条件が異なる。
初任給を上げる一方で、その原資を確保するため、中高年層の賃金や役職手当を抑える企業もある。
一部の賃上げが、別の層の負担によって成り立っている可能性がある。
5. 中高年社員に起きている「心理的契約」の崩壊
長期雇用を前提とした日本企業では、社員と会社の間に暗黙の約束があった。
社員は、
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長く会社に尽くす
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異動や転勤を受け入れる
-
残業や責任を担う
-
組織を優先する
その代わり会社は、
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雇用を守る
-
年齢や経験に応じて賃金を上げる
-
定年まで生活を支える
という関係である。
しかし、役職定年や再雇用後も同等以上の責任を求められながら、給与だけが大幅に下がるケースがある。
これでは、
会社との約束を一方的に破られた
と感じても不思議ではない。
6. 問題は個人のやる気ではなく、構造的な不信感
静かな退職を、本人の怠慢や意欲不足と見るだけでは本質を見誤る。
背景には、
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努力と報酬の不一致
-
評価基準の不透明さ
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将来への不安
-
雇用慣行の変化
-
会社都合の制度変更
-
生活コストの上昇
がある。
つまり、社員個人の問題というより、
会社や社会の仕組みに対する不信感の表れ
である。
7. 中小企業にとっては死活問題になる
中小企業では、一人が担う役割が大きい。
そのため、一人ひとりが必要最低限の働き方へ移行すると、
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顧客対応の質が下がる
-
改善提案が出なくなる
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新しい挑戦が止まる
-
周囲への支援が減る
-
社長への負担が集中する
といった影響が出る。
大企業以上に、静かな退職が組織全体の停滞につながりやすい。
8. 賃金だけで解決できない経営環境もある
中小企業経営者が、社員の給与を上げたくないとは限らない。
現実には、
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取引先からの買いたたき
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原材料価格の上昇
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円安
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エネルギー価格の上昇
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人件費以外の固定費増加
-
価格転嫁の難しさ
などがある。
経営者の努力だけでは解決できない、事業規模や取引構造の問題も存在する。
したがって、
社員対経営者という単純な対立構造で考えるべきではない。
9. 会社の原点は「共に生きる仲間」
COMPANYという言葉の由来には、
パンを共に食べる仲間
という意味があるとされる。
会社は単なる雇用契約の場ではない。
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共に働く
-
共に学ぶ
-
共に困難を乗り越える
-
共に成果を分かち合う
-
共に未来をつくる
関係である。
働き損社会への処方箋は、会社を再び、
信頼関係を持つ仲間の集まりへ戻すこと
にある。
10. 元気な企業は「人」に投資している
業績のよい中小企業には共通点がある。
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人を大切にする
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人の可能性を信じる
-
学ぶ機会をつくる
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挑戦を認める
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経営哲学を明確にする
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哲学に共感する人を集める
その結果、人が付加価値を生み、生産性が向上する。
生産性向上は、人を減らすことではなく、人の可能性を高めた結果として生まれる。
11. 現場は人を育てる場所
現場は、単に業務を処理する場所ではない。
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顧客の声を知る
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判断力を磨く
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仲間と協力する
-
失敗から学ぶ
-
自分の役割を理解する
という、人材育成の場所である。
いい会社は、現場を消耗の場にせず、
人が成長できる経験の場
として設計している。
結論
「静かな退職」は、社員が突然やる気を失った現象ではない。
努力しても報われない、会社を信じても守られないという経験が積み重なった結果である。
問題の本質は、働く人の意欲ではなく、
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努力と報酬
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責任と権限
-
貢献と評価
-
会社と社員
の間に生じた不均衡にある。
経営者が社員に「もっと頑張れ」と求めるだけでは、不信感は深まる。
必要なのは、
この会社で働くことに、どのような意味と価値があるのかを再構築すること
である。
水平思考
静かな退職は、社員の問題であると同時に、
会社に対する無言の顧客離れ
と考えることができる。
社員もまた、会社という環境を選んでいる利用者である。
商品やサービスに価値を感じなくなれば、顧客は購入量を減らす。
同じように、会社で働く価値を感じなくなった社員は、
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努力量
-
提案量
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挑戦量
-
関与度
を減らす。
退職していないから関係が維持されているとは限らない。
在籍していても、心理的にはすでに離れていることがある。
一見すると、
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会社の利益
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社員の幸せ
は対立するように見える。
賃金や福利厚生を増やせば、会社の費用は増える。
しかし、社員を軽視すると、
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離職
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採用費
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生産性低下
-
顧客満足低下
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ノウハウ流出
-
経営者への負担集中
が起こる。
短期的には人件費を抑えることが利益につながっても、長期的には会社の価値を損なう可能性がある。
人を大切にすることは、利益を犠牲にすることではなく、持続的な利益の条件を整えることである。
また、静かな退職は悪い現象である一方、会社の問題を知らせる警報でもある。
社員が頑張らなくなった事実を責めるのではなく、その理由を読み取れば、組織改善の入口になる。
自社への活用方法
活用のキーワードは、
心理的契約・信頼・公平感・納得感・貢献実感・報酬・役割・権限・対話・経営哲学・成長機会・現場育成・価格転嫁・付加価値・仲間意識
関係者に共有すべき視点は、
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静かな退職を怠慢と決めつけない
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背景にある不信感を見る
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貢献と評価の整合性
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責任と権限の均衡
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会社で働く意味の言語化
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人への投資と生産性の連動
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現場を育成機会に変える
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経営環境の厳しさも共有する
-
利益と還元の考え方を伝える
-
仲間としての関係をつくる
自社の哲学と照らし合わせて
今回の内容は、自社が大切にする、
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当事者意識
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正しい評価
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多様性
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イノベーション
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シンプル
の中でも、特に正しい評価と当事者意識に関係する。
人は、単に給与が高ければ努力するとは限らない。
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自分の仕事が役に立っている
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貢献を見てもらえている
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意見を聞いてもらえる
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成長する機会がある
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会社の未来に参加できる
と感じることで、当事者意識が生まれる。
正しい評価とは、結果の数字だけでなく、
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顧客への貢献
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仲間への支援
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改善への挑戦
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責任ある行動
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将来価値を生む活動
を見落とさないことである。
また、自社の長期指針である、
「世界に一つしかない地域をつくるために、世界に一つしかない組み合わせを育て続ける」
ためには、その組み合わせを考え、育て、実行する人が必要になる。
人が会社から心理的に離れれば、新しい組み合わせは生まれない。
反対に、会社への信頼と働く意味があれば、人は自分の知識や経験を持ち寄り、新しい価値を生み出す。
最後に一言でまとめるなら、
静かな退職を防ぐのは、強い号令ではなく、この仲間と働く意味があると思える会社をつくることである。
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