「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」

のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう

 

 

 

 本日は7月17日

 

 

 

 

理念と経営2026年7月号より 

 

 

 

 TODAY'S
 
挫折がもたらした「人」という大きな財産

社員の平均年齢は業界平均より一〇歳若く、業績伸び率は二三倍以上。新卒採用倍率は七五・四倍。と驚異の数字が並ぶ関屋リゾート。だが、これまでの日々には、経営者の心を折りかねない苦境があったという。その足跡をたどった。やる
P56抜粋

 

ポイント

1. 事業再生の出発点は、親を助けたいという思いだった

林太一郎社長が実家の旅館に戻ったのは、会社を大きくしたいからではなかった。

  • 赤字が続いていた

  • 両親の給料も出ない

  • 母の入院

  • 旅館閉鎖の危機

という状況を前に、

「親孝行のためにも、自分が何とかするしかない」

と考えたことが出発点だった。

最初の経営目的は、家族と事業を守ることだった。


2. 既存の強みを絞り込み、業績を回復させた

関屋旅館には、父の料理という強みがあった。

林社長は、

  • 魚料理

  • 手頃な価格

  • インターネット集客

を組み合わせて発信した。

その結果、売上は一年で約三〇〇〇万円から五〇〇〇万円まで回復した。

新しいものをゼロから作ったのではなく、

すでに持っていた価値を見つけ、伝え方を変えた

ことで再生の第一歩を踏み出した。


3. 大きな挑戦は、成長と組織のひずみを同時にもたらした

林社長は、全六室の高付加価値旅館「別邸はる樹」を開業した。

一億六〇〇〇万円の融資を受けた大きな決断だったが、事業は軌道に乗った。

一方で、怒鳴る料理長を止められず、新規採用した社員が全員退職した。

林社長は業績を優先し、

「我慢してくれ」

と社員に求め続けた。

事業の成功の裏で、組織は大きく傷ついていた。


4. 同じ失敗が繰り返されたことで、自分に原因を求めた

二つ目の施設「テラス御堂原」を開業した際にも、新規採用者八人のうち六人が半年ほどで退職した。

一度目は料理長の問題と考えられた。

しかし二度目の大量離職を経験し、林社長は、

「人が辞める原因は、自分にあるのではないか」

と考えるようになった。

社員の退職を、採用ミスや本人の問題として片づけず、経営者自身の問題として捉え直したことが転機になった。


5. 会社を大きくすることは、経営目的ではなかった

林社長は、経営を学ぶ中で、自分が会社の規模拡大だけを目指していたことに気づいた。

  • 父母を助けたい

  • 自分の力を証明したい

  • 会社を大きくしたい

という目的はあったが、

  • どのような会社にしたいか

  • 社員にどうなってほしいか

  • 誰を幸せにするのか

までは明確にしていなかった。

そこで、

高収益と社員の幸せを両立する会社

を目指すことを決めた。


6. 思いは、言葉にしなければ伝わらない

林社長は、全社員と毎月一時間の一対一面談を始めた。

最初は、

  • 興味のあること

  • 今考えていること

  • 個人的な関心

などから話を始めた。

面談を重ねるにつれ、

  • 会社への要望

  • 職場の不満

  • 将来への希望

  • 人事制度への意見

も聞けるようになった。

その結果、人が辞めなくなった。

林社長が得た最大の気づきは、

社員を大切に思っていても、言葉と行動で示さなければ伝わらない

ということだった。


7. 理念を採用・育成・評価の中心に置いた

関屋リゾートは、

「旅で世界とヒトを明るくする」

というミッションを掲げている。

企業理念は、

  • 非日常の体験を通して顧客満足を追求する

  • 常に挑戦する

  • 仲間を信頼し、共に学び成長する

という内容である。

この理念に共感する人を採用する「理念共感型採用」を進めた。

その後、

  • 新卒採用

  • 人事制度

  • 昇格試験

  • 人材育成プログラム

  • マネジメント教育

へとつなげている。

理念は掲げる言葉ではなく、

人が入社し、育ち、評価されるまでの共通基準

になっている。


8. コロナ禍でも、人材投資を止めなかった

ガレリア御堂原の総工費は二三億円。

開業準備と新卒一期生の入社時期が、新型コロナウイルスの感染拡大と重なった。

宿泊客の見通しが立たない中でも、

  • 新入社員を予定どおり受け入れる

  • 研修を続ける

  • 施設を完成させる

  • 開業準備を止めない

という判断をした。

売上がない時期にも人材を手放さなかったことで、その後の需要回復に全稼働で対応できた。

危機の最中に守った人材が、回復期の成長力になった。


9. 成長する会社であること自体が、人材戦略になる

林社長は、

「伸びていない会社に人は入ってこない」

と考えている。

現状維持だけでは、若い人に未来を示せない。

だからこそ、

  • 新しい施設

  • 新しい体験

  • 新しい役割

  • 昇格機会

  • マネジメントへの挑戦

  • 将来の事業目標

を明確にしている。

会社の成長は利益のためだけではない。

社員に未来の選択肢と成長機会を示すためにも必要である。


10. 挫折が「人」という財産を生んだ

関屋リゾートは、離職や人間関係の問題を何度も経験した。

しかし、それらの挫折があったからこそ、

  • 経営理念

  • 一対一面談

  • 人事制度

  • 理念共感型採用

  • 新卒育成

  • 社員との信頼関係

が生まれた。

林社長は、

「挫折は大きなものをもたらしてくれる」

と語っている。

失敗を避けたから強くなったのではない。

失敗を経営者自身の学びに変えたから、組織が強くなった。


結論

関屋リゾートの事例が示しているのは、

企業成長の最大の資産は、施設でも資金でもなく、人である

ということだ。

高付加価値の宿泊施設を造ることはできても、人が定着しなければ事業は続かない。

林社長は、社員が辞める現実を通じて、

  • 自分の思いを伝える

  • 相手の話を聞く

  • 理念を共有する

  • 成長機会をつくる

  • 未来を示す

ことの重要性を学んだ。

人を経費ではなく、未来をつくる財産として扱ったことが、現在の成長につながっている。


水平思考

この事例は、旅館業の再生物語であると同時に、

設備投資中心の経営から、人材投資中心の経営へ転換した事例

として見ることができる。

高級旅館やホテルを造れば、一時的に注目を集めることはできる。

しかし、

  • 誰が接客するか

  • 誰が理念を伝えるか

  • 誰が次の人材を育てるか

  • 誰が新しい体験をつくるか

によって、その施設の価値は大きく変わる。

建物は完成した瞬間から古くなる。

一方、人は学び、経験を共有し、新しい価値を生み続ける。

長期的には、ハードよりも人の成長速度が企業の成長速度を決める。


 

一見すると、

  • 高収益

  • 社員の幸せ

は対立して見える。

社員を大切にすればコストが増え、利益が減ると考えられがちである。

しかし関屋リゾートでは、

  • 面談

  • 新卒採用

  • 育成

  • 昇格制度

  • 理念共有

に力を入れた結果、人材が定着し、組織力と業績が伸びた。

つまり、

社員の幸せと高収益は、短期的には緊張関係があっても、長期的には互いを支える。

また、

  • 挫折

  • 成長

も反対ではない。

挫折は、正しく向き合えば成長の材料になる。

失敗によって失ったもの以上に、失敗から学ぶ姿勢が新しい財産を生む。


自社への活用方法

活用のキーワードは、

理念共感・対話・一対一面談・言語化・人材定着・成長機会・役割設計・評価制度・若手育成・挑戦環境・高収益・人への投資・未来の提示・挫折の共有

である。

関係者に共有すべき視点は、

  • 思っているだけでは伝わらない

  • 人が辞める原因を外に求めない

  • 経営目的を明確にする

  • 理念と採用をつなげる

  • 理念と評価をつなげる

  • 現状維持では未来を示せない

  • 挫折を組織知に変える

  • 人の成長を事業成長の前提に置く

という点にある。


自社の哲学と照らし合わせて

今回の事例は、自社が大切にする

  • 当事者意識

  • 正しい評価

  • 多様性

  • イノベーション

  • シンプル

という価値観と深く重なる。

特に重要なのは、当事者意識である。

社員の退職を、社員側の問題と捉えるのではなく、

「変わるべきは自分だった」

と受け止めたことで、組織改革が始まった。

また、正しい評価とは、売上を上げた人だけを見ることではない。

  • 理念を体現する人

  • 仲間を育てる人

  • 挑戦する人

  • 対話を生む人

  • 組織を支える人

を評価することでもある。

そして、自社の長期指針である、

「世界に一つしかない地域をつくるために、世界に一つしかない組み合わせを育て続ける」

ためには、建物や商品以上に、それらを組み合わせる人が必要になる。

地域、不動産、伝統文化、宿泊、外国人、農業、デジタル。

これらをつなぐのは、制度ではなく人である。

最後に一言でまとめるなら、

挫折によって経営者が変わり、経営者が変わることで人が残り、人が残ることで会社の未来が生まれる。

 

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