「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」

 

のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう

 

 

 

 

本日7月15

 

 

理念と経営2026年7月号より
 

 

 TODAY'S
 
人々の安心をつくる高圧洗浄のトップブランドへ

コンクリートをも砕く「水」の力でインフラの健全化を実現する羽田工業、二代目の羽田健社長は日本全国で実績を重ねるとともに、あるイノベーションを見据えている。
P44抜粋

 

ポイント

1. 高圧洗浄を軸に、社会インフラの安心を支える

羽田工業は、高圧洗浄と設備メンテナンスを主力とする企業である。

高圧の水は、汚れを落とすだけでなく、コンクリートを破砕・切断するほどの力を持つ。

同社はその技術を活用し、

  • 石油化学工場

  • 焼却施設

  • 高速道路

  • 橋梁

  • ビル

  • 各種産業設備

の保守・保全を担ってきた。

事業の本質は、水を噴射することではない。

社会や産業を支える設備を健全な状態に保ち、人々の安心を守ること

である。


2. 仕事の意義は、後から見えてくることがある

羽田健社長は、高校卒業後すぐに入社した。

当初は、油で汚れ、暑さの中で作業する厳しい現場に、やりがいを感じられなかった。

しかし、父の病気を契機に、二十八歳で現場全体と経営を担う立場になった。

責任の範囲が広がることで、

  • 顧客の設備を守る

  • 社員の生活を守る

  • 会社を継続させる

  • 社会の安全に関わる

という仕事の意味が見えるようになった。

仕事の価値は、作業そのものではなく、その先にある責任を理解した時に見えてくる。


3. 外部環境の変化を、異分野展開の機会に変えた

石油化学工場の定期点検に関する法律が変わり、点検頻度が減少したことで、主力事業の仕事も減った。

安定していた市場が、制度変更によって突然縮小したのである。

その時、羽田工業に持ち込まれたのが、

  • ダイオキシン除染

  • アスベスト除去

の依頼だった。

羽田社長は、自社の高圧洗浄技術が別分野でも活用できると判断し、依頼を引き受けた。

これにより、事業領域が広がり、社員数や会社規模も拡大した。

危機を乗り越えたのは、新技術をゼロから生み出したからではなく、既存技術の使い道を広げたからである。


4. 事業承継で託されたのは、会社だけではない

羽田社長は、実質的に長く経営を担った後、正式に二代目社長へ就任した。

その過程で、父と初めて本音で向き合った。

先代が伝えたのは、

「一人で頑張らないように」
「素直になることが大事だ」

という言葉だった。

先代は、会社を継いでもらえるとは思っておらず、会社を譲る寂しさも抱えていた。

事業承継とは、役職や株式を渡すだけではない。

  • 先代の孤独

  • 経験から生まれた教訓

  • 顧客への責任

  • 社員への思い

  • 創業の精神

まで受け取ることである。


5. 経営を「個人の判断」から「組織の合意」へ変えた

先代の経営は、社長の指示を社員が実行する形だった。

羽田社長は、経営方針や経営計画を明文化し、社員と共有する経営へ転換した。

決算前には幹部合宿を行い、

  • 現状の振り返り

  • 課題の共有

  • 来期方針

  • 予算

  • 安全

  • 人材育成

を議論している。

経営計画は未来を当てるためのものではなく、組織が同じ方向を向くための共通言語である。


6. 理念を「安心」から「共創」へ進化させた

羽田工業は、経営理念を

「すべての人々の安心のために」

と定めていた。

そこには、

  • 社会

  • 顧客

  • 社員

  • 社員の家族

の安心を守るという思いが込められていた。

その後、理念をさらに、

「お客様の成功と安心を共に創る」

へと改定した。

単に設備を洗浄し、安全を提供するのではない。

顧客と共に設備の健全性を高め、顧客の事業発展に貢献する会社を目指している。

「守る会社」から、「顧客と未来をつくる会社」への進化である。


7. 全国対応を可能にする機動力

羽田工業は、北海道から沖縄まで全国の工場、高速道路、橋梁などで施工を行っている。

海外でも、

  • シンガポール

  • サウジアラビア

  • インドネシア

などで実績を重ねている。

同社の強みは、技術力だけではない。

  • 全国へ出向く行動力

  • 現場への対応力

  • 難しい案件を断らない姿勢

  • 安全管理

  • 現地でのコミュニケーション

を含めた総合的な機動力である。


8. 採用の前提そのものを変えた

四日市周辺では、人材確保が難しくなっている。

そこで羽田社長は、

人を会社の所在地に集めるのではなく、人が住む場所に拠点を設ける

という発想へ転換した。

全国で採用し、採用した社員の居住地域に事務所を設け、そこから各現場へ向かう。

これは単なる採用手法ではない。

  • 地域固定型から分散型へ

  • 本社中心から人材中心へ

  • 通勤前提から機動配置へ

という組織構造の転換である。


9. 安全と人手不足を解決する機械化

高圧洗浄は、非常に危険性の高い仕事である。

わずかなミスが重大事故につながり、業界では死亡事故も起きている。

一方で、施工方法は長年大きく変わっていない。

羽田社長は、若い人が安心して働ける仕事へ変えるために、

  • 遠隔操作

  • 機械化

  • 自動化

  • ヒューマノイドロボット

  • エンジニアリング機能

の開発を進めている。

機械化の目的は、人を減らすことではない。

人を危険から遠ざけ、技術を次世代へつなぐこと

である。


10. 全員を一律に変えようとしない

現場には、

  • 機械化を歓迎する人

  • 手作業を続けたい人

  • 新しい方法に不安を感じる人

がいる。

羽田社長は、それらを一つに統一しようとせず、

「手作業で進めるグループ」と「機械化を進めるグループ」

に分けて変革を進めている。

変革は、全員を同じ速度で動かすことではない。

異なる考え方を許容しながら、成功例を積み重ねることで、組織全体を前へ進めている。


結論

羽田工業の事例が示しているのは、

企業の強みは、技術そのものではなく、その技術を社会の変化に合わせて使い直す力にある

ということである。

高圧洗浄というコア技術を、

  • 石油化学工場

  • ダイオキシン除染

  • アスベスト除去

  • 高速道路

  • 橋梁

  • 海外工事

へと展開してきた。

さらに現在は、機械化とロボット技術によって、仕事そのもののあり方を変えようとしている。

羽田工業は、高圧洗浄会社から、

インフラの健全化と、人々の安心を共創する技術会社

へ進化しようとしている。


水平思考

この事例は、高圧洗浄技術の話であると同時に、

「水」という身近な資源を、社会インフラを守る高度技術へ変えた事例

として見ることができる。

水は、

  • 汚れを落とす

  • コンクリートを削る

  • 有害物質を除去する

  • 設備を延命する

  • 薬剤使用を減らす

など、使い方によって価値が変わる。

つまり、希少な資源だけが競争力を生むのではない。

誰もが知るものを、誰もできない水準まで磨くことでも、トップブランドはつくれる。


量子思考

一見すると、

  • 人の技能

  • 機械化

は対立する。

しかし、羽田工業が目指しているのは、人を機械に置き換えることではない。

  • 危険作業は機械に任せる

  • 判断や調整は人が担う

  • 熟練技術を機械へ移す

  • 新しい技術を人が育てる

という共存である。

また、

  • 伝統的な手作業

  • 新しい自動化

も同時に残している。

変革とは、過去を否定することではなく、過去の強みを未来の形へ翻訳することである。


自社への活用方法

自社への活用キーワードは、

コア技術の再定義・異分野展開・安心の共創・全国対応・分散型組織・安全最優先・機械化・世代継承・複線型変革・トップブランド化

である。

既存の事業、資産、信用、人脈を固定的に捉えず、

  • 本質的な強みは何か

  • 別の課題に使えないか

  • 誰の安心につながるか

  • 人に依存している部分はどこか

  • 技術で安全性を高められないか

  • 一つの方法に統一する必要があるか

という視点で再整理する。


自社の哲学と照らし合わせて

今回の事例は、自社が大切にする

  • イノベーション

  • 当事者意識

  • 正しい評価

  • 多様性

  • シンプル

と深く重なる。

特に重要なのは、既存技術を正しく評価することである。

羽田工業は、高圧洗浄を単なる洗浄作業として捉えなかった。

水の力を使い、社会の安心を守る技術

として再定義したからこそ、異分野への展開が可能になった。

また、手作業と機械化を両立させる姿勢は、多様性を認めながら変革する考え方でもある。

自社の長期指針である、

「世界に一つしかない地域をつくるために、世界に一つしかない組み合わせを育て続ける」

という哲学に照らすと、今回の最大の学びは明確である。

既存資産や地域資源も、用途を固定すれば価値は限定される。

しかし、異なる技術、人、地域課題、仕組みと組み合わせることで、新しい社会的価値が生まれる。

最後に一言でまとめるなら、

トップブランドとは、最も大きな会社ではなく、自社にしかできない方法で、人々の安心をつくり続ける会社である。

 

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