「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」
のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう
本日7月11日
理念と経営2026年7月号より
![]()
危機の時ほどビジョンを掲げる
ポイント
1. 危機の時ほど、未来を示すビジョンが必要
富士フイルムは、写真フィルム市場が急速に縮小することを早くから予測していました。
本業がなくなる危機に対して、
- 弱気にならない
- 現実から目をそらさない
- 中期経営計画をつくる
- 全社員で危機感と方向性を共有する
という行動を取りました。
危機の時に必要なのは、目先の縮小均衡ではなく、
「この会社は次にどこへ向かうのか」という明確なビジョン
です。
2. 偶然の成功ではなく、自らつかんだ「福」
記事で引用されているのが、
「偶々得るを幸と謂い、自ら得るを福と謂う」
という言葉です。
偶然得た成功は一時的な「幸」にすぎない。
自ら考え、苦労し、努力して得た成果こそ、本当の「福」である。
富士フイルムの再生は、幸運ではありません。
社員一人ひとりが危機を理解し、自社の強みを探し、創意工夫を重ねた結果です。
3. 自社の強みは、徹底的に掘り下げなければ見つからない
富士フイルムは、フィルムそのものに固執しませんでした。
その代わり、フィルム事業で培った、
- 画像処理
- 色再現
- 精密加工
- 化学技術
- ナノ技術
- 品質管理
を分解し、新しい市場へ展開しました。
その結果、
- 医療機器
- 医療IT
- 内視鏡
- MRI
- バイオ医薬品製造受託
という次の事業が育ちました。
つまり、
本業が消えても、本業で培った能力までは消えない
ということです。
4. 探索・検証・成長には長い時間がかかる
富士フイルムの新規事業は、短期間で成功したわけではありません。
- 探索期:約10年
- 検証期:約10年
- 成長期:現在
という長い時間をかけています。
特にバイオ医薬品の製造受託事業では、一兆円規模の投資を行い、長期で事業を育てています。
新規事業は、始める勇気だけでなく、成果が出るまで耐える力が必要です。
5. 全員経営には、共通の目的が必要
「全員経営」とは、全員が好き勝手に動くことではありません。
- 危機感
- 会社の目的
- 将来像
- 自社の強み
を共有し、それぞれが自分の立場で考え、行動することです。
そのためには、経営者がビジョンを示さなければなりません。
ビジョンのない全員経営は、単なる分散行動になってしまう。
結論
今回の文章の核心は、
危機の時こそ、自社の強みを信じ、未来のビジョンを掲げることが必要である
という点です。
富士フイルムは、写真フィルム市場を守り続けた会社ではありません。
写真フィルムで培った技術や能力を見つめ直し、次の本業へ転換した会社です。
一言でまとめるなら、
守るべきものは現在の商品ではなく、会社が長年育ててきた強みである。
水平思考
この事例は、単なる「事業転換の成功例」ではありません。
むしろ、
会社を商品ではなく、能力の集合体として捉え直した事例
です。
多くの会社は、自社を、
- 不動産会社
- 酒造会社
- 写真会社
- 印章会社
という業種名で定義します。
しかし、本当に重要なのは、
- 何を知っているか
- 誰とつながっているか
- どんな技術があるか
- 何を継続してきたか
です。
業種は変わっても、能力は別の形で生かせます。
一見すると、
- 本業を守る
- 新規事業へ進む
は対立して見えます。
しかし富士フイルムは、本業を捨てたから成長したのではありません。
本業の中にある本質的な強みを守るために、商品や市場を変えました。
つまり、
過去を否定する変革ではなく、過去を深く理解した変革
です。
また、危機と成長も反対ではありません。
危機があったからこそ、全員が自社の強みを考え、次の事業を生み出せたのです。