「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」
のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう
本日5月19日
理念と経営2026年5月号より

人を笑顔にできるものを生み出したい
明治から続く老舗企業の長男として生まれた佐藤さんは、後継ぎとなるべく育てられた。そのプレッシャーから、両親との間にいつしか確執が生まれ、大学を中退する。 社会人経験もなかった佐藤さんが、社長と しての覚悟を決めた“原点”とはいつだっ たのだろうか。
P60抜粋
ポイント
1. 死の淵で見えた「感謝」
佐藤氏は、幼少期から後継ぎとして育てられた重圧、容姿へのコンプレックス、父との確執を抱えていた。
しかし、がんの疑いをきっかけに死を意識し、両親と出雲大社へ向かう車中で、幼い頃からの記憶がよみがえった。
そこで湧き上がったのが、
「世の中はありがとうで満ちている」
という感覚だった。
当たり前の日常、生きていること、両親の存在。
それらすべてが感謝の対象に変わった。
2. 人生の目的は「魂を磨くこと」
佐藤氏は、自分に宛てた遺書に、
人生とは、神様からお預かりした命と魂を磨き高めること。
魂を磨くとは、誰かのために生きること。
という趣旨を書いた。
その後、稲盛和夫氏の「人生とは、心を高め、魂を磨くためにある」という言葉に出会い、自分の考えと重なった。
ここで、個人の人生観と経営観がつながった。
3. 人は理屈ではなく心で動く
桶庄に入社後、佐藤氏は不動産部門の立ち上げを担当した。
しかし、気負いすぎた結果、人が次々に辞めていった。
そこで気づいたのは、
人は理屈ではなく、心で働く
ということ。
正しいことを言えば人が動くわけではない。
「この人についていきたい」と思える人間になる必要があった。
4. 理念は社長の覚悟である
父が倒れ、突然経営を担うことになった佐藤氏が最初に取り組んだのは理念づくりだった。
もともとの理念は、
「すべては、お客様の明日の笑顔のために」
だった。
しかし佐藤氏は、
- 従業員の笑顔
- 取引先の笑顔
- 地域の笑顔
- 会社の未来
も必要だと考え、
「すべては、私たちの明日の咲顔のために!」
へと進化させた。
「私たち」には、関係するすべての人が含まれる。
5. 善循環の経営
桶庄には「善循環」という価値観がある。
祖父の言葉は、
「ギブ・アンド・テイクは、ギブが先だ」
まず相手のために動く。
その善意が巡り、会社にも社会にも返ってくる。
これは、佐藤氏の人生観である、
誰かのために生きることが、魂を磨くこと
と重なっている。
結論
この事例の核心は、
理念とは、きれいな言葉ではなく、社長の人生観そのものである
ということ。
死を意識した経験が、感謝の心を生み、
感謝の心が「誰かのために生きる」という人生観になり、
その人生観が企業理念へと結晶した。
だから桶庄の理念には、言葉だけではない重みがある。
理念経営とは、社長自身の生き方を会社の判断基準にすることである。
自社への活用方法
① 「なぜ会社を続けるのか」を言葉にする
自身の言葉で理念化する。
② 「ありがとう」を経営判断の軸にする
この基準で見ると一貫性が出る。
③ 事業承継を「理念の再編集」として考える
これらを自分の言葉に置き換えることが、次の経営になる。