「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」
のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう
本日は3月25日
理念と経営2026年3月号より
東京科学大学
リベラルアーツ研究教育講師
栗山直子(くりやまなおこ)

現状維持バイアスとサンクコスト効果の罠
前回、東山先生は、認知バイアスはもが持つ「思考のクセ」だと述べられた。今回は、経営者が特に陥りやすい、「現状維持バイアス」と 「サンクコスト効果」という二つのバイアスについて詳しく解説していただこう。この二つは相互に作用し合い、有名企業の経営者さえも惑わしてきた。
P76抜粋
ポイント
1. 経営者を止める二大バイアスがある
今回の主題は、経営者が特に陥りやすい次の二つです。
- 現状維持バイアス
変えたほうがいいと分かっていても、「今のままでいい」と無意識に思ってしまう。 - サンクコスト効果
すでに使ったお金・時間・労力に引っ張られ、「ここまでやったのだからやめられない」となる。
この二つは別々ではなく、連動して企業を縛るのが怖い点です。
2. 現状維持バイアスは「失敗回避」の顔をした停滞
- 新しい選択には不安がある
- 失敗の可能性もある
- だから脳は、無意識に現状を守ろうとする
一見、慎重に見えますが、実際には
変化しないリスクを過小評価している状態 です。
ポラロイドの例のように、技術があっても、変化に踏み切れなければ衰退する。
つまり、問題は能力不足ではなく、判断の癖 にあります。
3. サンクコスト効果は「もったいない」が判断を壊す
- すでに使った費用は戻らない
- それでも人は「回収したい」と思って続けてしまう
映画のチケット代ならまだ小さいですが、経営では深刻です。
コンコルドの事例のように、
- 採算が合わない
- 構造的に厳しい
- それでも「ここまで投資したから」と続ける
結果として、損失を拡大させます。
4. この二つは組み合わさると危険
流れとしてはこうです。
- 過去に投資する
- やめるのが惜しくなる
- 変えたくなくなる
- さらに投資する
- ますますやめられなくなる
つまり、
過去の投資が未来の判断を乗っ取る のです。
量子思考で言えば、本来は複数の未来があるのに、過去の重みで一つの悪い未来に固定してしまう状態です。
5. 呪縛から抜ける方法は三つ
本文の対策は明快です。
① 過去は変えられないと受け入れる
- すでに使ったお金や時間は戻らない
- 大事なのは「これから先をどう最適化するか」
② ゼロベース思考をする
- 「今ゼロから始めるなら、この事業を本当にやるか?」
- 答えがノーなら、撤退や縮小を検討するサイン
③ 変化のメリットを数値化する
- 現状維持コスト
- 変化した場合の利益
- 撤退した場合の損失圧縮
感情ではなく、数字で比べることが重要です。
結論
この文章の核心は、
経営を悪くするのは、外部環境だけではなく、経営者自身の思考のクセでもある
という点です。
特に、
- 現状維持バイアス
- サンクコスト効果
は、経営者に
- 「変えない理由」
- 「続ける言い訳」
を与えてしまいます。
だから経営では、
勇気より先に、認知の歪みを疑うこと が必要です。
つまり、良い経営判断とは、
「何をやるか」だけでなく
「何をやめるかを、冷静に決められること」 でもあります。
自社への活用
1. 不動産事業での活用
感情の整理と数字の分離 です。
2. 多プロジェクト経営での活用
撤退判断の遅れ が弱点になりやすいです。
複数の可能性を同時に持つことが大事ですが、
その後の「観測」も必要です。
つまり、
- 並行実験は続ける
- しかし一定期間ごとに観測する
- 数字と反応で、残す・縮小・撤退を決める
この仕組みが必要です。
3. 自社で持つべき「撤退基準」
バイアス対策として、自社に合うルールを先に決めると強いです。
例としては、
- 6か月で反応が一定以下なら見直す
- 1年で黒字化の道筋が見えなければ縮小する
- 既存事業との相乗効果が薄ければ保留する
- 維持コストが心理負担を上回るならやめる
つまり、感情が乗る前に
ルールで未来の自分を守る のです。
4. 「もったいない」の使い方を変える
本当に怖いのは、
「ここまでやったのにもったいない」
です。
でも見方を変えると、
- ダメなものを続ける方がもったいない
- 判断を遅らせる方がもったいない
- 時間と集中力を失う方がもったいない
とも言えます。
だから、
回収すべきは過去の投資ではなく、未来の選択肢
だと捉え直すと良いです。