「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」
のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう
本日は7月8日
理念と経営2024年6月号より
株式会社白山
代表取締役社長
米川達也(よねかわたつや)
破綻の淵から
始まった経営者人生
現在、光コネクタ部品で世界シェア二位を誇る白山だが、12年前には倒産寸前だった。そんあ切羽詰まった状況に立ち向かったのが、それまで経営経験がなかった現社長。再建の軌跡をたどるーーー。
P50 抜粋
逆境から世界シェア二位へ
株式会社白山は、現在光コネクタ部品で世界シェア二位を誇る企業です。しかし、12年前には倒産寸前の危機に直面していました。この切羽詰まった状況に立ち向かい、見事に会社を再建したのが、当時経営経験がなかった現社長の米川達也です。
白山の危機と再生の始まり
白山は元々、電話加入者用「保安器」のトップメーカーでしたが、光回線への移行や携帯電話の普及により保安器の需要が急減。その結果、売上はピーク時の約80億円から激減し、会社は瀕死の状態に陥りました。
米川達也さんは、2012年にNTTを定年退職後、副社長として白山に再就職しました。しかし、経営の実情を知らされていなかった米川さんは、メインバンクから支援打ち切りの最後通告を受けることとなります。
経営者としての覚悟と再建への道
2014年2月1日、米川さんは社長に就任しました。彼はまず「経営者としての十戒」を定め、再建のための具体的行動計画を策定しました。主力工場の売却、不採算事業の切り捨て、そして大規模な人員整理を実行。社員一人一人と誠意をもって向き合い、再就職先の確保にも尽力しました。
社員とのコミュニケーションと「必死のコミュニケーション」
米川社長が最も重視したのは、社員とのコミュニケーションでした。頻繁に全社員集会を開き、改革への理解と協力を求めました。テレビ会議システムを導入し、石川・東京・埼玉の拠点を結びつけ、「五年で再生完了、七年で上場」という夢を社員たちに語り続けました。
光コネクタ事業の成功と未来への投資
白山の再生を支えたのは、光コネクタ部品「MTフェルール」の成功でした。米川社長は、将来性を見据えて光コネクタ事業にリソースを集中させる決断を下しました。その結果、MTフェルールは急成長し、現在では白山の全売上高の60%を占めるまでになりました。
恩を忘れない経営者
米川社長は、人との縁を大切にする経営者です。苦しい時期に助けてくれた取引先企業や、再建の過程で支えてくれたNTT時代の人脈、そしてリストラを受け入れてくれた社員たちに対する感謝の気持ちを忘れず、恩返しを誓っています。
まとめ
経営者の仕事とは何か?それは単なる小さなコスト削減にとどまらず、社員が死に物狂いになる目標を設定し、実現に向けて全力を尽くさせることだと考えます。某大手企業の社長がリストラ策を発表後に電車通勤に切り替えたという新聞記事を見たことがありますが、業績は一向に改善しませんでした。それは、経営者としての本質的な仕事が行われていなかったからです。社員の目の色を変えるような目標を掲げ、その達成に向けて全力でサポートすることが、経営者の真の役割です。今の時代においても、どんな方法でもよいので、社員の意識を高め、共に困難を乗り越える姿勢が求められています。