「昨日の自分

て、図書から学んだことを実践していこう

 

 

本日は6月28日

理念と経営2024年7月号より
「特集1」

有限会社原田左官工業所
代表取締役社長
原田宗亮(はらだむねあき)

 

 TODAY'S
 
成り手が少ない左官業で
若者から選ばれる理由とは


職人特有の「見て覚える」という育成法は、若者の左官離れを加速させた。
しかし、原田左官工業所は育成法に新たな風を取り入れ、高齢化が進む左官業にもかかわらず、
毎年5名程度の新入社員を確保している。その新たな"風"とはーーーー。

P25抜粋

 

有限会社原田左官工業所の成功事例

成り手が少ない左官業で若者から選ばれる理由とは

有限会社原田左官工業所は、職人特有の「見て覚える」という育成法を見直し、新たな風を取り入れることで若者から選ばれる企業となっています。高齢化が進む左官業界の中で、毎年五名程度の新入社員を確保しているその秘訣をご紹介します。

多様なバックグラウンドの新入社員

原田左官工業所では、新入社員はほぼ初心者で、美術大学卒や文学部卒といった多様なバックグラウンドを持つ人々が集まります。現社長の原田宗亮氏が就任した当初、社員数は23名でしたが、現在では50名に増加。そのうち12名が女性職人です。

モデリング訓練による人材育成

かつては「見て盗んで覚えろ」という育成法が一般的でしたが、これでは若者が長続きしませんでした。そこで、原田左官工業所では「モデリング訓練」を導入。一流の職人の仕事のやり方を映像で見ながら、その動きをまねる方法です。入社して一か月間は徹底してこれを繰り返し、体でその動きを身につけることができます。この訓練法により、若者たちが早い段階で技術を習得しやすくなり、離職率が大幅に低減しました。

女性も働ける環境の整備

1990年、原田左官工業所では業界初の女性左官チーム「原田左官レディース」を結成しました。女性ならではの斬新な発想を生かすためのチームで、メディアからも注目されました。さらに、育児休暇制度を整備し、ブランクがあっても復帰できる環境を作りました。これにより、忙しい時期には集中して働き、その後は柔軟に休暇を取るといった働き方も可能になっています。

高い提案力と独自性

原田左官工業所の強みは、仕上げの分野に対する優れた提案力です。例えば、新しくオープンする喫茶店で漆喰の中にコーヒー豆を混ぜるといったお客様の要望にも応えることができます。左官という仕事は陶芸に通じる部分があり、装飾も含めて自分の手で作る喜びがあるため、若い人たちも挑戦しやすいのです。

成果と未来への展望

2024年3月、同社の職人が「技能グランプリ」の「タイル張り」で「金賞」を受賞。このような環境があるからこそ、若者もベテランも、男性も女性も、いきいきと働くことができるのです。原田社長は「優れた職人をもっと育てたいし、それができる環境を作っていきたい」と語り、さらなる人材育成に力を入れています。

原田左官工業所の事例は、小さくても選ばれる会社として、業界全体の模範となるものです。人材育成のシステムと働きやすい環境の整備により、確かな人材育成を実現しています。

まとめ

若者が納得しやすい「見て覚える」「まずは掃除から」などの考えを止め、効率的で結果がでやすい育成方法。
自身の成果がすぐに眼前に表現される左官という仕事が受け入れたのではないでしょうか。
タイパ・コスパを意識している若者に適した育成方法です。