「昨日の自分よりも成長し、目的を達成するための実践」

のひとつとして、図書から学んだことを実践していこう

 

 

本日6月13日

 

理念と経営2024年6月号より

 

作家・工学博士

森 博嗣

 

 

 

 TODAY'S
 
「無能になるまで
昇格する」という現象

 

 

P48

 

ポイントと気づき

1. ピーターの法則とは? ピーターの法則は、南カリフォルニア大学の教育学者ローレンス・J・ピーターが提唱したもので、次のような内容です:

  • 人は自己の能力の限界まで昇進する。
  • 無能な人はそのポジションに留まり、有能な人は限界に達するとそのポジションで無能化する。
  • 組織は限界に達していない人々によって機能する。

2. 日本企業におけるピーターの法則の影響

  • 有能な社員が昇進し、マネージャーになると、現場の業務を優先してしまい、部下の育成やチーム全体のパフォーマンス向上に注力しないことがある。
  • 日本の企業文化では、リーダーの降格が難しく、その結果無能な管理職が組織に残ることになる。
  • 無能な管理職が増えると、組織全体の効率や士気が低下する。

3. 組織の再生と学び直し(リスキリング)

  • 組織全体が無能な人材集団とならないためには、幹部自らが学び直しを行うことが必要。
  • 外部講師の研修だけでは問題解決にならず、幹部自らが実践的な学び直しを行い、それを組織全体に波及させることが重要。

4. トヨタの事例

  • トヨタは、幹部自らが学び直しを行い、成長し続ける文化を持っている。トヨタの研修は、教える側も学ぶ側も成長することを目的としている。
  • トヨタの元副社長、河合は「若いもんには早く成長してほしいけれど、オレたちもまだまだ抜かれるわけにはいかん。自分たちも成長しなくちゃならん」と述べており、幹部の継続的な成長がトヨタの成功の鍵となっている。

5. 若手社員の活用

  • 若い人材をグループに加えることで組織に活気が生まれ、彼らの「知らない」という特徴が過去の手法に囚われない新しい視点を提供する。
  • 若手との接触は、ベテラン社員が初心を思い出し、教えることで自身の知識を再確認する機会になる。

経営者への提言

  1. 無能化を防ぐ人材管理

    • 昇進や配置転換を慎重に行い、能力に見合ったポジションに適切に配置することが重要です。
    • 無能な管理職が増えないよう、定期的な評価とフィードバックを行い、必要に応じて再教育や配置転換を行うべきです。
  2. 学び直しとリスキリングの推奨

    • 幹部自らが学び直しを実践し、組織全体にリスキリングの文化を根付かせることが重要です。
    • 座学だけではなく、実践的な研修や現場での学びを重視することで、より効果的なスキルアップが可能です。
  3. 若手社員の積極的な活用

    • 若手社員を積極的に採用し、彼らの新しい視点を組織に取り入れることが、組織の活性化に繋がります。
    • 若手社員との協働を通じて、ベテラン社員が初心を思い出し、再び学び直す機会を提供することが大切です。
 
初心や未経験者が組織に加入することは、ベテランや経験者が学ぶ貴重な機会です。重要なのは、常により良い方法を模索し、向上心を持ち続けることです。「今まで通り」が無能の象徴となりうることに気づくことで、組織は変革と成長を促進できます。この気づきは非常に有益であり、ピーターの法則に示されるような無能化を防ぎ、組織全体のパフォーマンスを高めるための第一歩となります。