久しぶりにニュージーランドらしさ満載の映画を見て、とても面白かったので紹介します。


Hunt for the Wilderpeople




予告編


身寄りのないもの同士のカップルが、やはり孤児を養子に向え入れるのですが、奥さんが急死し、残された子供が納屋に火をつけて家出をしてしまいます。それをおいかけたお父さん(映画ではUncleと呼ばれてましたが)が、なぜか誘拐犯と間違われてしまい、山中を何ヶ月も逃げ回るというストーリー。追いかける側の女性は施設の人ですが、銭形警部みたいな味を出してました。



お話的には「それはありえないでしょ」という展開だらけなので、理屈ぽく見ないほうがいいのですが、何が面白いってあちこちに散りばめられたニュージーランドishなネタ。


まず、主人公の男の子の生い立ちがそう。

若くして子供を生んでしまったお母さんが育児放棄して行方不明になり、子供は施設に入っても立派にぐれてしまう。


単一民族ではないニュージーランドに住んでいると、マオリやパシフィック系などで高校生くらいで親になるケースをとてもたくさん見ます。パシフィック系には敬虔なクリスチャンが多く、堕胎をしないのもその理由でしょうが、避妊という常識の観点がずれてるようにも思います。



そして山の中で狩りをして生計を立てる夫婦なのですが、つかまえる動物が豚なんですね。日本でいうところの野生のイノシシですが、こちらではPigと呼ばれます。
狩猟の標的になるのはたいていこのPigですが、聞いた話ではヨーロッパから殖民するためにやってきた人が連れてきた豚が逃げ出して野生化しているそうです。
この豚は家畜を襲ったり田畑を荒らすので、ニュージーランドの農家にとっては厄介な生き物。



山中ではこの豚に襲われるシーンもありますが、犬がいい演技していました。





それと出てくる人たちの人種構成が面白い。
主演のサム・ニールのようなヨーロッパ系白人ニュージーランド人もいれば、マオリ系もいるし、パシフィック系も出てきます。その人たちが喋るKiwi Englishと呼ばれる独特の発音が、耳に心地よくて、アメリカ映画よりも分かりやすかったです。

また、それぞれの個性や台詞が、「イージーゴーイング」に描かれているように感じたのは、小さいことを気にしないニュージーランドならでは?と。。身びいきかな。





さらに有名なテレビレポーターが出てきたり、反政府で山にこもっている世捨て人、無能っぽく描かれる警官、などなど、ニュージーランドに住んでいると、「ああ~、あれなあ~」というシーンが数多く出てきます。



また、小道具で「出前一丁」が出てきて、山の中にまでアジア文化が浸透していることを、ちくりとシニカルに描かれています。




映画はニュージーランドの原生林を舞台にしたロードムービーですが、最後はきっちりほのぼのと終わらせてくれるので、暖かい気持ちで映画館を出ることが出来ました。






この映画の原作は、「Wild Pork and Watercress」


Watercressはどこにでも野生しているクレソンの一種。