ひと月ほど前ですが、New MarketのRialto Cinemaで日本映画の「あん」。英語タイトルは「AN」を見ました。


ライ病患者を扱った映画でしたが、日本の季節感、食べ物への愛情、ひとの心をとても丁寧に撮った作品で、エンドロールが流れるのを見ながら、じわーっと感動が体にしみ込んでいるのを感じました。


お客さんは私たち夫婦以外は全員ニュージーランド人の中高年カップルでしたが、私たちが笑うところ、泣くところ、同じ場面に反応していたようです。

河瀬さんという監督は、海外でも評価が高く、カンヌの常連さんのようですが、国境の関係のない心に響くいい映画を作るのですね。 

他の作品も見てみたいと思いました。



主演の樹木希林が地のおもしろさを出しつつ、いい具合に老人を演じていました。
この老人役をしている樹木希林の容姿が、うちのおばあちゃんに似ていたので、余計に泣けてきました。


今やベッドの上で寝たきりになっているおばあちゃんですが、元気な頃は焼酎が好きで毎晩一人で晩酌していました。20代の頃の僕はかなりの回数おばあちゃんと酒を酌み交わしていたのですが、酔うと「なかなかなぁ~」が口癖でした。

自分の夫、そして自分の娘(私の母親)が先に死に、娘の亭主(私の父)も再婚し、孫たちはどんどん独立して家を出て行き、おばあちゃんひとりで過ごす時間が増え、夜はお酒に酔って「なかなかなぁ~」(なかなかうまくいかないなぁ~)。。。



その一言を聞くと、「あ、はじまった。早いとこお開きにしよ」といつも思っていましたが、おばあちゃんの寂しさや悔恨やいろんな思いがつまった「なかなかなぁ~」は、ここ数年私にも引き継がれてしまったようで、仕事がうまく行ってないときは、「なかなかなぁ~」と言ってはおばあちゃんを思い出しています。


まあ、そんなに頻繫に言うわけではないですよ。


年に1,2度です。