子供の頃からやし酒を飲むことしか能がない男が、自分専属のやし酒造りが不慮の事故で死んだため、そのやし酒造りを探しに「死者の町」への旅に出るというお話。
ただの飲んだくれの金持ちのドラ息子かと思いきや、旅を始めるや唐突に”私はやおよろずの神の<父>”などと言い出し、いきなりなんじゃそりゃという展開。
行く先々で出くわす奇怪な生物、奇妙奇天烈な出来事。
その奇想天外さやおどろおどろしさはファンタジーというレベルを超えて神話的、いや、日本の神話などにも通じるところはあるものの、やはりその枠にも収まらないような、とにかくまったくこっちの想像力が追い付きません。
アフリカ文学というものを初めて読みましたが、翻訳でも伝わってくる悪く言えば稚拙ともとれる独特な文体がまた摩訶不思議さを助長する、今までにない、なんともおかしな読書体験でした。
ところで、最近、この本を読んだ人の中には、このマンガで紹介されていたから読んでみたという人が少なからずいると思いますが、私もその一人。
(本当は同じくこの本で紹介されていた寺田寅彦の本が読みたいなと思って岩波文庫の書棚を眺めていたのですが、目当ての本がなくて、こっちが目に入ったので読んでみたということではあるのですが...)
古書店を営む青年を主人公として描くこのマンガ、すごくいいんですよね。
本を読みたくなること必至です。

