入門日本美術史 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

 

毎年、何回か美術展、とりわけ日本の美術展を好んで観に行きますが、こうした美術展のほとんどは、一人の人物、あるいは特定の時代にテーマを絞ったものであり、それが日本の美術史の中でどういう位置づけにあるのか、前後の時代や人物とどのような関連性があるのかということについては、実はよくわかっていなかったりもします。

 

そんな日本の美術史について体系的に学ぶのによさそうと思って読んでみたのが本書です。

 

日本美術史には、外来文化を取り入れて模倣する時代と、それを独自に熟成させる時代が交互に訪れるという特徴があるということで、その大きな波を意識しながら読み進めていくと、仏教伝来とともに取り入れられた仏教美術しかり、禅宗文化とともに取り入れられた水墨画しかり、幕末・明治期に取り入れられた西洋画しかり、なるほど、確かにそれら外来の美術を基に独自の発展を遂げてきたことが、よくわかります。

 

ただ、模倣と熟成という大きな波を捉えやすくするためか、前半は仏像に、後半は一辺倒と言ってもいいほどに絵画に偏りすぎており、何かが大事なものが省かれているような、そんな物足りなさも少し感じました。

 

例えば、個人的にとても好きな陶磁器。

 

これも中国や朝鮮から取り入れられて、茶の湯文化の発展とともに独自に熟成されてきたものかと思うのですが、これに一切触れられていなかったのが残念ではあります。

 

でも、新書の入門書という形式を考えると、話を広げすぎるよりも焦点を絞った方が大きな流れを捉えやすくていいのかもしれませんね。