ことり | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

 

人間の言葉を話さなくなったが、小鳥のさえずりは理解するという兄と、その兄の言葉を唯一理解し、支え続ける弟。

 

社会にうまく適応できず、だれの支援も受けず、世間の片隅で慎ましく生きる兄弟の物語。

 

社会との接点がないわけではないけれども、うまく伝わらず、かみ合わないところがなんとも切なく、もっとうまく生きられないのだろうかともどかしさも感じますが、哀れとか不幸だとか、そういうふうにも思えない。

 

多くを望まず、小鳥の歌声に耳を傾け、決まったことをして静かに過ごす平穏な毎日。

 

それはそれで満たされた人生なのかもしれないなと。

 

やがて兄は亡くなり、その後、人々から「小鳥の小父さん」と呼ばれるようになる弟は、時々図書館に通い、鳥に関する本を借りて読むということを生活のルーティンの1つにするのですが、「小鳥が出てくる小説か...」と思ってこの本を手に取った私も「小鳥の小父さん」でした。