大地の五億年 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

 


地球が誕生したのは46億年前とされていますが、地球上に土が誕生したのは5億年前だそうです。

 

最初に誕生した土はコケや地衣類が死んで積み重なったものと砂や粘土が混ざり合ってできたものだったそうですが、それから5億年、それぞれの土地の特性や、動物や植物との相互作用によって、様々な土が生まれ、変化し、蓄積されてきました。

 

この本では、動植物の栄枯盛衰とともに歩んできた5億年の土の歴史と、そこに人の営みが加わるようになった直近1万年の土の歴史を掘り起こして解説し、土のこれからについても考察しています。

 

私は、岩石については、その地形の成り立ちにも関わるものなので最近興味をもって見ているのですが、土にはこれまであまり注目していませんでした。

 

しかし、この5億年の土の歴史、1万年の人と土との歴史を読んでみると、どちらも驚きの連続でした。

 

一見変化しないように見える土も、5億年をギュッと凝縮してみるとダイナミックに変化しており、その土の変化が地球環境の大変動にも関わっている。

 

しかも、その5億年の歴史を土そのものがしっかりと記憶しているというのがすごい。

 

その大地の記憶を掘り起こし、地球の歴史とそのからくりを解明していく研究者たちもまたすごい。

 

そして、人と土との1万年の関わりは、5億年の歴史の中ではほんのわずかな時間ですが、農業という人間の営みは土にそれまでになかったような急激な変化をもたらしています。

 

近・現代になると、化学や技術の進歩によってそれがさらに加速し、土に大きな負担をかけ、栄養分の欠乏や酸性化による土壌劣化の問題がが深刻になっていると言います。

 

土の問題はまだそれほど一般に広く知られていないように感じますが、持続可能性ということに関しては、水や空気と同じくらいにしっかりと考えていかなければならないのではないかと思います。

 

この本の中では、かつて東北の黒ぼく土の土壌改良に取り組んでいた宮沢賢治の話にも触れられていますが、こういう土の話を知った後で”雨ニモマケズ”を読むと、より深い思いが伝わってきます。