日本語教室 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録


日本語教室 (新潮新書)/井上 ひさし
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井上ひさしさんが上智大学で行った「日本語講座」の講演を文字に起こしたもので、「考えられる限りの、一番読みやすく、書きやすく、正確で、しかも潤いがある、そういう日本語を見つけようというのが私の野望です...」いう趣旨のもとに、自身の日本語に対する考え方を広く紹介されています。

あくまでも語りですから、話のまとまりや奥行きと言う点ではやや物足りなさも感じます。

しかし、その成り立ちや変遷をも含めて、井上ひさしさんの日本語に対する愛着と探求心、考え方のエッセンスというものは十分に伝わってきます。

なかでも、お芝居を書かれてきた方だけに「やまとことば」や音韻へのこだわりの強さが印象的でした。

刻々と物語が進行していく芝居の中で、如何に読みやすく、わかりやすく、正確に、そしてなおかつ潤いを感じられる台詞を展開していくか...

そんなことを突き詰めていった結果、自ずと日本語に対する感覚が研ぎ澄まされ、見識が深まっていったのでしょうか?

言語表現を生業とする人なら誰しも感覚的に身につけているものなのかもしれませんが、それを理論的な肉付けをした上でこうして体現できるというところがすごいなぁと感銘を受けました。