世論の曲解 | Archive Redo Blog

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世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)/菅原琢
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選挙前の世論動向、選挙後の勝因・敗因の総括。


これらの報道を見ていていつも思うのは、政治家やマスコミが語る世論と実際の世論がどうもずれているのではないかということです。


小泉劇場にしてもしかり。


小泉政権の負の遺産、小泉構造改革の反動、逆小泉効果という言説にしてもしかり。


麻生人気にしてもしかり。


本当に多くの国民がそのように考えているのか、そのように変化しているのか、どうもその説明にしっくりこないことが多いんです。


そんな疑問に1つの答えを示してくれたのがこの本です。



人は、周りに様々なデータがあっても、自分の考えやイメージにしたがって、都合のいいデータだけを選びとってしまう習性をもっています。


このような人の特性は確証デバイスと呼ぶそうです。


著者はこの本の中で、実際の世論を見誤り、政治家が間違った方針をとったり、マスコミが間違った報道をり返すのは、この確証デバイスというものが背景にあるからだとし、05年の衆院選、07年の参院選、09年の衆院選をモデルケースに、多角的にデータを収集・分析し、確証デバイスの影響を極力排除しつつ、郵政選挙で圧勝した自民党が、以後惨敗を繰り返し政権の座から転落するに至る過程と構造を紐解いています。


そして、このような世論の曲解を繰り返さないために、政治家やマスコミに今後求められる役割について考察しています。



世論調査に限らず、そもそも社会調査というものは、質問の仕方や、サンプリングの仕方をちょっと変えるだけで、そこに現れる回答の傾向は大きくブレるものです。


それゆえに、こうしたデータを確証デバイスのかかった人たちが見ることとによって世論が曲解されていくという構造は宿命的なものなのかもしれません。


しかし、著者が指摘するように、そこを乗り越えて、真の世論を読み取る能力を磨くことこそが、政治家にとっても専門家にとってもマスコミにとっても、重要なのではないかと思います。


先日の参院選の総括を見る限りは、まだ同じことを繰り返しているように思えますが...