ダーウィンの思想 | Archive Redo Blog

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ダーウィンの思想―人間と動物のあいだ (岩波新書)/内井 惣七
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自然淘汰説を軸に進化論を展開したダーウィン。

そのダーウィンの思想の本質に哲学的な観点から迫ろうというのが本書です。



ダーウィンが生きた時代、多くの科学者は、人間という存在に関して、身体的な構造や知覚的な能力については他の動物と共有する性質を持ち、段階的に進化を遂げてきたものであろうということは認めつつも、理性や道徳といった卓越した能力を持つという点については、動物と人間との連続性を説明することができないと考えていました。

そこには、神の存在、人間の尊厳への配慮も多分に働いていたことでしょう。


しかし、ダーウィンは生物の世界から創造主たる神を放逐し、人間の理性や道徳性についても動物界に差し戻して自然淘汰説の中で説明しようとしました。


この徹底した自然主義こそがダーウィンの真骨頂だと著者は強調しています。



様々な学説や著者自身の見解が混濁した印象で、新書としては非常に読みにくい本ですが、ダーウィンの思想についての一考察として、非常に興味深いアプローチかと思います。