サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)/下條 信輔- ¥945
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サブリミナル...と聞くと、「サブリミナル効果」という言葉を連想してしまいますが、1つの事象としては触れているものの、それがこの本の主題というわけではありません。
情動と潜在認知をキーワードに現代社会における様々な現象を見つめなおそうというのがこの本の趣旨です。
この本は、序章で「定位反応」と呼ばれる現象などを例に情動と潜在認知の働きをイメージさせ、以降、音楽などに感じる「快」、現代社会における刺激の過剰、広告社会の中での消費者の自由、情動に働きかける政治、新たな価値を生み出す創造性、といった事象を紐解いていくという構成になっています。
各章に順序的なつながりはなく支離滅裂な印象も受けますが、一見つながりのないこれらの事象も実は情動と潜在認知というキーワードで地下茎でつながっているということを強く意識させる内容となっています。
この本を読むと何らかの明快な答えが得られる...そういう類のものではありませんが、情動と潜在認知を通して見つめることで、現代社会における不可解な現象の数々が、少し違ったものに見え、いくらかでも納得できる...そんな感覚がつかめる一冊です。