いちばん大事なこと | Archive Redo Blog

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いちばん大事なこと―養老教授の環境論 (集英社新書)/養老 孟司
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養老さんが環境について語った本です。

ベースになる考え方は既出の著書にあるとおりでなんらブレはありません。

人間が決して作り出すことのできない環境という複雑なシステムを、「ああすれば、こうなる」式の思考で考えるからおかしくなるんだということです。


養老さんはこの本の中で、環境問題を考える場合、里山に代表されるような日本独特の「手入れ」という思想が重要なのではないかと論じています。

人間が自然に適度に手を入れることによって環境を維持し、人間もまたその環境の一部として自然の恵みを享受し、還元する...

戦後、都市型の生活様式へと変わりゆく中で、この「手入れ」の思想は忘れさられつつあります。

その一方で人間は森林を伐採し、ダムや堤防を作り、自然を「コントロール」しようとしてきました。

その結果として起こった様々な弊害、それが今の環境問題というわけです。


「手入れ」と「コントロール」、その違いを養老さんはこんな風に語っています。

(一部引用します。)

「手入れ」と「コントロール」は違う。「手入れ」は相手を認め、相手のルールをこちらが理解しようとするところからはじまる。これに対して「コントロール」は、相手をこちらの脳の中に取り込んでしまう。対象を自分の脳で理解できる範囲内のものとしてとらえ、脳のルールで相手を完全に動かせると考える。しかし、自然を相手にするときには、そんなことができるはずがない。

確かにその通りではないでしょうか。

だからといって昔の生活に戻れと言ってもなかなか簡単にできることではありませんが、こういうスタンスで物事を考えると、環境問題に対する見方も随分変わるかもしれません。